雇用統計に注目、金融政策の先行き見極めへ=今週の米株式市場
[ニューヨーク 29日 ロイター] - 12月2日からの週の米株式市場は国内経済の健全性を見極める展開になる見通し。6日発表の雇用統計が今後の金融政策を大きく左右する可能性がある。
S&P総合500種指数は年初から25%以上上昇し、最高値圏で推移している。米連邦準備理事会(FRB)が来年も利下げを継続するとの見方が株高の一因となってきた。
投資家は景気の力強さを示す指標をおおむね好感しているが、6日発表の雇用統計も強い内容となれば、利下げ観測が後退し、インフレに対する警戒感が強まる可能性がある。
エドワード・ジョーンズのシニア投資ストラテジスト、アンジェロ・クルカファス氏は「(雇用統計の発表で)基調的なトレンドがさらに明らかになる。FRBの金利見通しが不透明でさまざまな議論があるため、これは重要だ」と述べた。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場が予想する来年末の政策金利は3.8%。9月時点の予想を100ベーシスポイント(bp)以上上回っている。現行の政策金利は4.5─4.75%。
ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのシニアグローバル市場ストラテジスト、サミール・サマナ氏は「(FRBは)経済、特に労働市場がどの程度、本当に追加利下げを必要しているのか、疑問の声を声高に上げ始めている」と述べた。
CMEのフェドウオッチによると、12月17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で25bpの利下げが決まる確率は27日終盤時点で約70%となっている。
ロイターのエコノミスト調査によると、11月の非農業部門雇用者数の予想は18万3000人増。
アメリプライズ・ファイナンシャルのチーフ市場ストラテジスト、アンソニー・サグリムベネ氏によると、雇用統計が予想を大幅に上回れば、12月の利下げ観測が後退し、株価が下落する可能性がある。
LSEGデータストリームによると、S&P総合500種指数の12カ月先予想株価収益率(PER)は22倍以上と、約3年ぶりの高水準だ。
ヤルデニ・リサーチのストラテジストは、こうした楽観論の高まりは懸念すべきシグナルかもしれないと指摘。
「現在の株式市場に差し迫っているリスクは(トランプ次期大統領の)関税よりも、むしろ投資家の過度な強気姿勢だ。逆張りの視点から見ると、これは株価反落の可能性が高いことを示している」と述べた。
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