米玩具メーカー、トランプ対中関税で倒産懸念-年末商戦に打撃も
- 米玩具メーカーの約半分が数カ月以内に倒産の可能性と回答-調査
- 価格転嫁や製造中止を余儀なくされ、年末商戦に打撃及ぼす恐れ
米国の玩具メーカーは、コスト削減のため1980年代に製造拠点を中国に移した。しかし、半世紀近くたった今、その決断が倒産につながるとの懸念が広がっている。
業界団体の米玩具協会が米企業400社余りを対象に実施した調査によれば、トランプ米大統領が4月に発動した145%の対中追加関税によって、数カ月以内に破綻に追い込まれると答えた企業が約半分に上った。
同協会によれば、米国で販売されている玩具の約8割は中国製。コスト増を吸収する余裕がない米玩具メーカーは、価格を消費者に転嫁するか、製造自体を中止せざるを得なくなり、年末商戦に打撃を及ぼす可能性がある。
「ディズニープリンセス」人形を製造する米ジャックス・パシフィックのジョン・キンブル最高財務責任者(CFO)は4月29日の電話会議で、「われわれの業界では、ここ10年間で既に極めて多くの工場、卸売業者、小売業者が破綻してきた」と述べた。
トランプ氏の関税政策は、新型コロナウイルス禍の売り上げ急増の反動で既に減速に直面している玩具業界に追い打ちをかけている。米玩具協会の1月の発表によれば、米国の売上高は昨年が横ばい、2023年は7%減だった。
米国の玩具・ゲームメーカーの約96%は中小企業で、中国製の品質や価格競争力を考慮すると、簡単にサプライチェーンを再構築することはできない。
米玩具協会の4月の調査では、関税の影響で注文を延期もしくはキャンセルしているとの回答が8割余りに上った。
「GIジョー」のフィギュアなどを製造する米ハズブロは、関税による今年の利益への打撃が最大1億8000万ドル(約260億円)に上るとの見通しを示している。
同社のクリス・コックス最高経営責任者(CEO)は4月24日の決算の電話会議で、数百点の商品の生産を中国から他地域へ移管中だと明らかにした。
「バービー」人形の製造元である米マテルも、中国以外の製造拠点を検討している。24年に中国は世界生産の約50%を占めていたが、今年は40%を下回る見通しだ。同社は5月5日に1-3月(第1四半期)決算を発表する。
原題:US Toymakers Scramble to Adjust to Trump’s China Tariffs(抜粋)