都民ファースト都議の集会を駆ける小池都知事 国民民主党が「蜜月」ぶり見せるも失速気味

都民ファーストの会の都議の集会に駆け付けた小池百合子知事(右)と国民民主党の榛葉賀津也幹事長=23日午後、東京都調布市(原川貴郎撮影)

23日午後、小池百合子知事は3日間のサウジアラビア出張を終えて成田空港に到着すると、その日の夜には、特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」の東京都議2人の選挙区に激励しに駆け付けた。

「これからも東京が全国を引っ張っていく。そのような思いで連携しながら進めていきたい。これからも一緒にやっていきたい」

小池氏は2カ所目の集会で、自らが掲げる「東京大改革3・0」の伴走者として都議を持ち上げ、来場者に支援を呼びかけた。

4年前の前回都議選は告示直前に過度の疲労で入院し、選挙戦への関与が限定的だった小池氏だが、今回は公務を終えた平日夜や休日を使って、都民ファの立候補予定者の集会を足しげく回っている。

都民ファは目標とする「全員当選」(幹部)に向け、選挙戦での小池氏の応援効果にも期待を寄せる。

「友党」関係

ただ、都民ファが今回擁立を予定するのは37人。仮に全員が当選しても、55議席を獲得した前々回(平成29年)の都議選後ほどの勢力にはならず、小池氏が安定した都政運営を進める上では、引き続き都議会で他党の協力が必要となる。

現在の都議会でいわゆる「知事与党」を構成するのは第2党の都民ファ(26人)と第1党の自民党(30人)、第3党の公明党(23人)。3党は必ずしも連携しているわけではないが、今回の都議選では、都民ファと議会運営で連携できる勢力が誕生する可能性が高まっている。玉木雄一郎衆院議員が代表を務める国民民主党だ。

玉木氏はかつての希望の党で小池氏の後任の代表を務めた経緯があり、昨年の知事選では国民民主が小池氏を支持、衆院選では都民ファが国民民主を支援するなど、両党は「友党」(国民民主関係者)の関係を保っている。

小池氏が23日夜に出席した都民ファ都議の集会には、国民民主の榛葉賀津也幹事長も駆け付け、両党の蜜月ぶりを示した。

都議選では両党が競合する定数4以上の選挙区が複数あるが、定数3以下の選挙区では候補者の「住み分け」が進み、一部では区議や関係者らが相互に支援する。同じ選挙区で国民民主と議席を争う予定の都民ファ幹部は「競合とは思っていない。国民の支持者は40~50代の男性が多いが、うちは女性が多い。それぞれ改革を訴えていけばいい」と語り、選挙後の連携にも期待を示す。

国政の余波

その国民民主は現在、都議会に議席はないものの、昨秋の衆院選以来の国政での勢いに乗って、都議選の「台風の目」になるとみられている。約20人を擁立し、目標の獲得議席として「条例案が提出できる11人以上」(幹部)を掲げる。

「今回は自民には投票しないから。頑張ってね」

国民民主の候補予定者らは街頭でこんな声をかけられるなど、追い風を感じてきた。だが、風は最近、「冷たくなった」(立候補予定者)という。

変化があったのは党本部が参院選比例代表で、山尾志桜里元衆院議員らを擁立すると発表してからだ。

山尾氏は過去に不倫問題が報じられ、皇位継承の在り方を巡って党方針と異なる発信をしており、有権者の拒否感は「強烈」(国民民主関係者)で、別の候補予定者は活動中、「応援したいと思っていたのに、投票する政党がなくなったじゃないか」と有権者に不満をぶつけられたという。

国民民主が都議選で訴える都民の住居費負担軽減や水道料金の継続的な値下げといった政策と、山尾氏の参院選への擁立は何ら関係がないが、都議選と参院選が近接していることもあり、国政レベルで党が受ける批判が、都議選にも影響している形だ。

国民民主を支援する連合東京の幹部はこれまで追い風があったことを認めつつ、「風は止まった」との見方を示し、「もう一回、吹けばいいのだが」と懸念を口にした。(原川貴郎)

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