日本株、夏の波乱続く?目先は慎重姿勢を継続(窪田真之)
先週(営業日7月21~24日)の日経平均株価は、引き続き、半導体・AI関連株乱高下の影響を受けて大荒れでした。先週前半には急落する半導体・AI関連株に押し目買いが入って急反発しましたが、週末には再び半導体・AI関連株への売りが増えて、急落しました。先週1週間では470円(0.7%)上昇し、24日終値は6万4,611円となりました。
<日経平均株価週足:2025年6月1日~2026年7月24日>
出所:楽天証券マーケットスピードIIより作成
高市ラリースタート後の流れを簡単に振り返ります。日経平均は、高市早苗氏が自民党総裁選に勝利した昨年10月以降、3段上げとなっています。
◆高市ラリー第一弾
2025年10月4日高市早苗氏の総裁選勝利を好感した外国人の買いで日経平均が急騰しました。ただし、その時点ではまだ自民党は少数与党であったため、政策実現への不安があり11月以降はスピード調整となりました。
◆高市ラリー第二弾
2026年に入り、想定以上に早い衆院解散総選挙で自民党が大勝利したことを好感して、外国人の買いで急騰しました。ところが、2月末から中東危機が起こると原油急騰で世界景気が悪化する不安が高まり日経平均は一時急落しました。
◆高市ラリー第三弾
4月に入り、深刻なエネルギー危機は回避されるとの期待が高まり、日経平均はまた急騰しました。1-3月企業業績が半導体・金融などを中心に好調であることも好感されました。改めて、高市政権の成長戦略を評価した買いが増えました。ところが、7月に入り、再び急落しました。
スピード調整か、新たな下落トレンドの始まりか?
日経平均は6月の高値(7万2,831円)から11.3%下げた水準にあります。これまでの日経平均の上昇ピッチが速すぎることに警戒が出ていたところで、以下の通り、不安材料が重なったことで、下げが大きくなった形です。
【1】中国AIショック
中国の新興AI企業ムーンショット(月之暗面)の開発したAI最新モデル「Kimi K3」が米国のオープンAIやアンソロピックの最新AIに匹敵、あるいは一部上回る性能を見せたことが、米国AI企業にとってネガティブ視されました。
米国AI企業は、巨額の設備投資を、どのように回収しているのか不安が出ていました。この不安に対して、AIを利用する法人への課金で回収していく方針を示していました。米国のAIが世界最先端の性能を有し、世界中のAI利用企業が米国AIに依存しなければならないことが前提となっています。
ところが、今般、中国新興企業が米国AIに匹敵する高性能AIを開発し、オープンソースで提供する方針を示しました。競合AIが増えることで、AIへの課金・マネタイズが遅れる不安が出ました。
これだけで米国AIが築いた牙城が崩れるとは思えませんが、今後の成り行きを慎重に見ていくべき懸念材料として見ていく必要があります。
【2】中東情勢悪化、原油急反発
米国・イラン間で戦闘が再発したこと、イエメンのフーシ派(新イラン武装勢力)が、紅海を封鎖すると宣言したことなどを受けて、原油先物が急反発しました。
<WTI原油先物(期近):2022年1月2日~2026年7月24日>
出所:QUICKより作成
【3】インフレ・金利上昇懸念
日米ともインフレ率が高まり、長期金利がさらに上昇する不安があります。日米とも、中央銀行がタカ派色を出しており、年内、利上げが実施される可能性があります。
【4】トランプ新関税の発表
米国最高裁で相互関税10%が違憲とされたため、トランプ政権は150日の期間限定で通商法122条に基づく新関税10%を発動していました。その関税の期限切れに対応して、今般通商法301条を根拠とした新関税を導入すると発表しました。
関税率は、10%と12.5%の2種類で、日本は12.5%とされました。2.5%のアップですが、円安が進んでいることも勘案すると影響は軽微です。
今回、既存の関税とあわせて12.5%を超える場合は、12.5%を超える部分は適用しないという「上限12.5%」の軽減措置が日本などに対して取られます。既存の関税で12.5%を超える場合は、新関税は適用されません。また、自動車関税や鉄鋼・アルミニウム関税などと重複して、新関税は適用されないとされました。
今回の新関税発表は、事前に予測されていたことであり、マイナス影響はそれほど大きくないと思われます。
7月に入ってからの日経平均急落が、単なるスピード調整なのか、あるいは新たな下落トレンドなのか見極める必要があります。
私は、これまでの日経平均の上昇ピッチが速すぎたことに対するスピード調整と考えています。ただし、決めつけることはできません。景気・企業業績は良好なものの、さまざまな不安材料も出てきているので、しばらく慎重に情勢を見守る必要があると思います。
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