英30年債利回り、27年ぶり高水準 財政懸念でポンドにも売り
[ロンドン 2日 ロイター] - 2日の欧州金融・債券市場で、英国の30年物国債利回りが27年ぶりの高水準を記録した。各国の国債利回りは大規模な借り入れへの懸念や、トランプ米大統領による米連邦準備理事会(FRB)理事解任の試みを受けて上昇している。
英30年債利回りは一時5.697%と、1998年5月以来の高水準を付けた。世界的に債券市場で債務増大を巡る懸念を背景に売りが出る中、米国債利回りに追随し、独30年債利回りのほか、仏30年債利回りも一時14年ぶりの水準に上昇した。
ただ、この日の外国為替市場で英ポンドが売られ、対ドルで1.1%安、対ユーロで0.5%安となるなど、英労働党政権の財政抑制能力への懸念が高まる中、英国の脆弱性が目立っている。
ロイズの外為ストラテジスト、ニック・ケネディ氏は「長期債利回りは至る所で上昇しているが、英国債が最も大きく上昇する傾向がある」と指摘。「英国の財政は危険な状況にあり、こうした事態は継続する」とし、「債券市場では夏の間にある程度のリスクプレミアムが織り込まれてきたが、今は英ポンドに対しても一段のリスクプレミアムが求められている」と述べた。
英国の30年債利回りは先進7カ国(G7)中最も高い。これはG7で最も高いインフレ率や多額の借り入れ、経済成長の鈍化に対する懸念を反映している。
リーブス英財務相は財政目標の達成軌道を維持するため、秋の予算で増税を行うと見込まれており、経済成長の加速が一段と難しくなる可能性がある。
Sterling falls more than 1% versus dollarChart shows 30 year yields in Britain, the USA, Germany and Japan this year私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab