なぜ日本には「政府から独立した人権機関」がない?国連が繰り返し勧告、弁護士らが2028年設立めざす
政府から独立して人権問題に取り組む機関の設立を目指す弁護士や研究者、当事者らが9月10日、東京都内で記者会見を開き、分野を超えて連携するネットワークを結成したと発表した。
結成されたのは「NHRI設立推進ネットワーク(JCoN)」。2028年までに「国内人権機関」(NHRI)を設立することを目指すという。
会見の説明によると、NHRIは「National Human Rights Institution」の略称で、国際人権条約などが定める基準を、国内の人権保障に生かすための機関だ。民間団体ではなく、国内法に基づいて設置され、政府から独立して活動することが求められる。
1993年の国連総会で、NHRIに求められる役割や独立性などを定めた「パリ原則」が採択された。現在、世界では119のNHRIが設置されているという。
一方、日本にはこうした機関がなく、国連から繰り返し設置するよう勧告を受けてきた。
こうした中、東日本大震災に伴う原発事故や旧優生保護法による強制不妊手術、介護現場での不適切なケアなど、さまざまな人権問題に直面してきた当事者や関係者が、分野を超えて連携。
人権問題に対処するための「共通のインフラ」としてNHRIの設立を目指し、今回のネットワーク結成に至った。
「国連で日本が最も多く受けた勧告は、実はこの国内人権機関の設置なんです。でも、日本のメディアは政府の反論を分析しないまま流してきました」
オンラインで会見に出席した、英エセックス大学人権センターフェローの藤田早苗さんは、そう強調した。
藤田さんによると、日本には法務省に人権擁護局があり、その存在がNHRIを設置する必要はないとする根拠の一つとされてきたという。
しかし、藤田さんは「人権擁護局には独立性がなく、人権擁護委員も人権の専門家ではありません」と指摘したうえで、次のようにうったえた。
「国内の法や制度だけでは八方ふさがりになる人がいます。そういった行き場を失った人たちのため、国際人権基準を国内で着実に実施するためにNHRIが必要なのです」
JCoN事務局をつとめる山本悠一弁護士は会見で、「設立の必要性を市民にご理解いただき、今後、個人の参加や団体の加入を広く呼びかけていきたい」と述べ、国会議員への働きかけに着手する考えを示した。
東京電力福島第一原発事故によって避難を余儀なくされたという地脇美和さんも出席。「私たちは何度も福島県や東電に交渉要請をしてきましたが、被害者の声は届かず、望まない政策が次々と決定されてきました」と述べ、NHRIの必要性をうったえた。
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