マイクロソフト、AIデータセンター向けリースを大規模解約-報告
米マイクロソフトは米国内で一部のデータセンターのリースを解約したと、TDカウエンがリポートで指摘した。マイクロソフトが長期的に必要な分以上の人工知能(AI)コンピューティングを構築しているとの懸念が広がっている。
サプライチェーンへの調査を基にまとめた21日付の同リポートによれば、マイクロソフトは、合わせて「数百メガワット」規模のリースをキャンセルした。これはデータセンター2カ所分に相当するという。TDカウエンによれば調査からは、マイクロソフトが通常であれば正式なリース契約につながる合意の転換も見送っていることが示唆された。
マイクロソフトは24日の発表文で2025年6月通期の投資見通しを維持したが、TDカウエンのリポートに関してのコメントは避けた。
マイクロソフトが一部のリースを縮小させている可能性について、理由は明確には分かっていない。TDカウエンは24日に発表した2つ目のリポートで、オープンAIがここ最近結んだパートナーシップの一環として、作業をマイクロソフトからオラクルに移管しているためではないかと推測した。さらに、マイクロソフトが国外から米国へと、社内投資の一部を再配分している可能性があることを別途示唆した。
TDカウエンのアナリスト、マイケル・エリアス、クーパー・ベランジャー、グレゴリー・ウィリアムズの3氏はリポートで、独自の見解であることを強調した上で、サプライヤー調査で詳細は把握できなかったものの、マイクロソフトが供給過剰の立場にいる可能性と関連している印象を受けたと述べた。
リース縮小の可能性は、マイクロソフトが需要見通しに対して一段と慎重になっているのではないかとの疑問を抱かせる。同社は、今年度にAIデータセンター向けに800億ドル(約12兆円)を投じる見通し。1月末に行われた決算発表の電話会見でサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は、「指数関数的に増大する需要」に対応するために支出を継続する必要があると述べていた。
マイクロソフトの広報担当は発表文で「一部の地域では戦略的なペースや当社のインフラを調整する可能性があるものの、全ての地域で今後も力強く拡大していく」と説明、「今年度にインフラに800億ドル投じる計画は引き続き順調で、顧客の需要に対応するため記録的なペースでの成長を続けている」と述べた。
24日の欧州株式市場では、大手テクノロジー企業のデータセンター運営で必要な電力量は減少する可能性があるとして、エネルギーセクターに関連した銘柄が下落。シュナイダー・エレクトリック、シーメンス・エナジーはいずれも売りが先行している。
米国みずほ証券のアナリスト、ジョーダン・クライン氏は「すべて通常通りの業務のように見受けられる」とリポートに記した。同氏によれば、これほど大規模で、年間800億ドルもの支出がある企業なら、データセンターのリースを動かせるだけでなく、正式な契約を結んでいないリースも多かったとみられる。
原題:Microsoft Dropped Some AI Data Center Leases, TD Cowen Says (1)(抜粋)