経常収支11月は3.3兆円の黒字、3カ月ぶり高水準 貿易黒字転換で
[東京 14日 ロイター] - 財務省が14日発表した国際収支状況速報によると、11月の経常収支は3兆3525億円の黒字で3カ月ぶりの高水準となった。貿易収支が黒字に転換したほか、第一次所得収支の黒字幅が拡大した。
貿易・サービス収支は3366億円の黒字、うち貿易収支は979億円で5カ月ぶりの黒字となった。半導体等製造装置や非鉄金属の輸出が増加した一方、原粗油や半導体等電子部品の減少で輸入が落ち込んだ。サービス収支は、訪日客増加に伴う旅行収支の黒字拡大により黒字幅が広がった。
第一次所得収支は3兆4373億円の黒字、直接投資収益の黒字幅が拡大した。為替の円安も、海外収益を円換算する際の押し上げに寄与した。第二次所得収支は4214億円の赤字だった。
エコノミストからは、今後の財輸出を懸念する声が出ている。野村証券のエコノミスト、伊藤勇輝氏は「旅行収支の回復は財輸出・サービス収支の黒字化の要因だがペースは鈍い。先行きも、日本の対米輸出はトランプ次期米大統領が表明している関税の影響を受けると、財輸出全体の回復を抑える。中国の内需刺激策が日本の対中輸出につながるのかも不透明だ」と指摘する。
ただ、経常収支は今後も第一次所得収支に支えられ黒字基調を保つとの見方が大勢。伊藤氏は「第一次収支が今後とも日本の海外での『稼ぐ力』になってくると思う。経常収支全体でみると黒字基調が続き、赤字に転じることはないだろう」とみている。
経常収支は2023年1月に2兆0014億円の赤字を記録した後は、円安と食料品、エネルギー、資源価格の高騰などによる貿易赤字にもかかわらず、海外への証券投資や直接投資からの収入に支えられ黒字が続いている
*財務省の発表資料は以下のURLでご覧になれます。
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