日本人200人はこうしてインド人詐欺師に騙された…警察庁摘発「サポート詐欺」手口 一筆多論

警察庁

なぜ騙(だま)されるのか――?

パソコンを操作中、けたたましい警告音とともに「ウイルスに感染した」と画面に警告表示が出現してキーボードが使えなくなる。「サポート」を名乗る電話番号が表示され、慌てて電話すると「ウイルスを除去する」との名目で数万円の費用を請求される。

「サポート詐欺」だ。

関係機関によると、サポート詐欺は昨年1年間で数千件、被害額は20億円規模の可能性があるという。特殊詐欺などと同様、海外から仕掛けられており、摘発が難しい。最近、明らかになったサポート詐欺の摘発例は「インド発」だった。

警察庁が昨年5月、インド中央捜査局と合同で、インドから世界中を標的にサポート詐欺を繰り返していたインド人6人を逮捕し、拠点を捜索した。

この事件の犯行手口を詳細に分析すると興味深い。「なぜ騙されるのか」がよく分かるのだ。

グループはインド国内に2カ所、マイクロソフトのカスタマーサポートセンターを装ったコールセンターを設け、日本人からの電話に費用を払うよう誘導していた。少なくとも約200人から約1億8千万円を詐取していたという。

警告画面のサポート窓口の電話番号がインドの国際電話番号だったら不審に思うはず。なぜ騙された?

関係者によると、表示されていたのが「03」や「0120」で始まる番号だったからだ。インターネット電話は発信者番号(表示される番号)を技術的に自由に設定できる。グループはこれを悪用したのだ。

被害者が日本の番号だと思ってかけると、インターネット回線を通じてインドの偽コールセンターに転送されていた。インドに電話しているとは、被害者は夢にも思っていない。

それでも相手は日本語の分からぬインド人だ。なぜ会話が成立し、騙された?

グループはリアルタイム対応の高精度な翻訳ソフトで被害者の言葉を理解し、不自然さが少ない日本語の「台本」を読み上げていたという。言葉遣いが丁寧で親切なため、焦っていた日本人被害者は安堵(あんど)して詐欺だと疑わなかった。「多少の日本語の不自由さは、外資系企業のサポートセンターだからと納得してしまったようだ」と関係者。

日本人被害者がインド人グループに騙された要因を集約すると、こうなる。

❶大音量の警告音、PC操作不能でパニックを誘発する「技術力」。

❷偽コールセンターという「組織力」。

❸被害者に電話をかけさせ「人は自分で行動したものを信じ易(やす)い」という心理バイアス(先入観)を逆手に取った「心理戦」。

❹日本語対応という「ローカライズ」。

大半がテクノロジーで成立している。技術が進展する限り、詐欺は高度化するということだ。

偽警告は広告を装った画面をクリックすると表示される。連絡先の番号がある警告画面は偽物だ。電源を落とし、再起動すれば大半が解決する。焦って情報を入力したり、表示先に電話したりするのは避けたい。不安な場合は警察相談#9110や消費者ホットライン188に相談したい。

年度替わりの4月は新社会人が増え、異動でパソコン環境が変化するなど、サポート詐欺の被害が増える時期である。用心したい。(上席論説委員)

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