またか…サイバートラックが8回目のリコール。テスラ株価低迷に追い打ち

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イーロンと同じく、お騒がせが止まらないサイバートラック。

Tesla(テスラ)のサイバートラックが、またリコールされてしまいました。発表によると、運転中に外装パネルが外れる恐れがあり、「衝突の危険が高まる」とのこと。対象は販売済みの車両ほぼすべてで、その数は4万6000台以上に上ります。

Teslaのイーロン・マスクCEOがその強靭さをひけらかしていたサイバートラックですが、実際はそれほどでもないようです。今回のリコールはサイバートラックとしては8回目、その中でも外装パーツを理由としたリコールはすでに2回目です。2024年6月には、荷台の側面の外装カバーが正しく接着されていなかったために外れる懸念があるとして、自主リコールしていました。

TeslaはBloombergに対し、リコールしたサイバートラックのうち、実際に問題があるのは1%だけだと言い、でも一応全部リコールし、Tesla負担で修理すると説明しました。Bloombergの取材時点では、製造工程の改善は未対応でしたが、3月21日前後に対応開始するとのことでした。また今回のパネルの問題では、すでに保証請求を151件受けたことも明かしています。

サイバートラックのパネルが外れやすいのは、パネルと車体をつないでいるのが接着剤だけだからです。

いろんな車にエクストリームなテストをしているユーチューバーのWhistlinDiesel氏は、2024年8月にサイバートラックの耐久テスト動画をポストしていました。動画の中で彼は、サイバートラックからパーツを素手ではぎ取れてしまうことに衝撃を受けていました。以下はその動画をTikTokに切り出したものです。

@whistlindieselvstiktok2

I’m choosing cybertruck every time here 💀

♬ original sound - Whistlindiesel

WhistlinDiesel氏は、この動画でまずサイバートラックをツルハシでガンガン叩き、その後ツルハシをてこにしてパネルを剥がそうとするんですが、道具を使わずとも素手で剥がせることに気づきます。そしてパネルの裏の接着剤を発見すると、「ありえない、トラックをノリでくっつけるなんて。よくない、これは」と断じていました。

反イーロンで株価は低迷中

サイバートラックのリコールは、Teslaにとってさらなる痛手となります。Teslaの株価は、米国のドナルド・トランプ政権発足(と、マスク氏の政府効率化省トップ就任)以降下がり続けています。

株価というか、マスク氏の炎上がそのままTeslaの炎上に直結してしまっています。全米のTeslaショールームにはマスク氏に対する抗議デモが押しかけ、各地でTesla車に火を点けたり、ナチスの鉤十字マークをペイントしたりといった事案も頻発しています。Tesla車を手放す人が急増して中古価格が下がる一方、Tesla車に対する保険料は暴動の懸念から急騰しています。

Teslaに長年投資してきた投資顧問のロス・ガーバー氏は、ここ数日で複数のTV番組に出演し、マスク氏のCEO辞任を呼びかけています。Bloomberg TVでこう語っていました。

「イーロンがTeslaに戻ってくれれば、それは素晴らしいです。Teslaがまさに求めていることです。

でも、彼はそれをしません。彼は政府効率化省に留まっていて、今や世界最強の人物です。(略)ここまでくると、彼はTeslaを完全に放置しているのだと私は考えています。

イーロンは新たなCEOを任命してTeslaの運営を任せ、自分が政府の仕事に集中できる状況を作ると共に、自身をTeslaから切り離すべきだと思います。

Teslaは気候変動を解決しようとする素晴らしい企業です。それが今こんなネガティブな意味でイーロンと関連付けられて、本業である電気自動車の売上を崩壊させているのです。何かが変わるべきだし、私は今年それが起こると思います」

マスク氏もTeslaに関して何もしていないわけじゃなく、立場を利用してTeslaの売上とイメージ回復を図ったんですが、逆効果になっているように見えます。

3月12日、トランプ大統領がホワイトハウスの芝生の上で、ほぼTeslaのCMと言える動画を撮って公開したのですが、Tesla株は下がりました。さらに3月19日、商務長官のハワード・ラトニック氏が、Fox Newsで視聴者にTesla株の購入を呼びかけました。

「今晩この番組で頭に入れてほしいのは、ぜひTeslaを買うべきということです。

彼の株がこんなに安いなんて信じられません。ここまで安くなることは、もうないでしょう」

でも翌日、Tesla株はさらに下がりました。

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