さくら野百貨店北上店運営会社「いわて北上リテールマネジメント」2026年8月31日破産手続開始-クラソプレイス北上の販促担う核店舗、いわて生協ベルフ北上も撤退方針
岩手県北上市のリオ・モールマネジメント系複合商業施設「クラソ・プレイス北上(旧ツインモール北上東館)」核店舗「ツインモール北上さくら野(屋号:さくら野百貨店北上店)」の運営会社「いわて北上リテールマネジメント」が2026年8月31日に破産手続開始した。
旧マイカルと北上市が総力あげて築いた「ツインモール」
ツインモールプラザ北上は、1993年11月設立の組合「北上市本通り・新穀町地区市街地再開発組合」施行による再開発事業の一環として2000年3月に開業。建物は地上8階建で営業フロアは1~4階、店舗面積は24,795㎡。 再開発組合は発足当初、岩手地場老舗百貨店「川徳」(本社:岩手県盛岡市)を核とする都市型複合商業施設の開業をめざす方針であったが、1997年8月に川徳が再開発事業より撤退したため、同年10月に流通大手「マイカル」(本社:大阪市中央区)出資の東北地場百貨店連合「ダックビブレ」(本社:仙台市青葉区/後のエマルシェ)を代替に施設整備を進めることとなった。 さくら野百貨店北上店。
2001年10月「さくら野百貨店」として新装開業
ツインモールプラザ北上の建物は同方針に基づき1999年3月に着工、2000年2月に竣工したもので、鉄筋コンクリート造(RC造)地上8階建で営業フロアは1~4階、店舗面積は24,795㎡、延床面積は87,093㎡。 同施設は2000年3月の開業当初、北上市出資の第3セクター「北上都心開発」が施設全体の管理運営を担い、マイカル系百貨店「ダックビブレ北上ビブレ」が商業フロアの核として営業する分業体制を採っていたが、2001年9月のマイカル経営破綻を受け、同年10月に同社から正式独立した百貨店「さくら野百貨店北上店」を核とする複合商業施設として新装開業することとなった。(詳細は過去記事を参照)
2023年8月「北上都心開発」が所有/経営/運営一本化
さくら野百貨店北上店は、2017年2月の仙台店運営会社「エマルシェ」自己破産や高島屋との業務提携解消、北上市商圏の競争激化や高齢化にともなう経営効率化策の一環として専門店比率を拡大。2023年8月14日にさくら野百貨店全額出資の新会社「いわて北上リテールマネジメント」に事業承継(分社化)したうえで同年8月31日に北上都心開発が同社全株式を取得し、同年9月1日より施設全館の管理運営を北上都心開発が一気通貫で手掛ける体制に移行した。 2018年3月に新装した「さくら野百貨店北上店」。 大型専門店「Belf」「Seria」「DAISO」の看板が目立つ。
北上都心開発、さくら野承継で経営悪化
ツインモールプラザ北上全館の運営会社となった北上都心開発は、2021年4月に西館1~2階を北上市保健子育て支援複合施設「hoKko」に転換、2024年秋には半導体営業拠点「東京エレクトロンFE北上ステーション」を従来の4階レストラン街跡に加えて3階大部分に増床するなど、西館土地建物の北上市への一部売却や東館商業フロアの集約及びオフィスフロア転換といった取組みにより百貨店存続を図った。一方、同社は百貨店事業承継にあわせて約1.5億円の借入れを実施、6期連続営業赤字となるなど経営悪化が深刻化するなど、施設運営継続が極めて困難な状態に陥っていた。 ツインモールプラザ北上さくら野百貨店。
市が土地建物取得、リオ社主導で新たな管理運営体制に
北上市は「北上都心開発の経営破綻によるツインモールプラザの機能停止を避け、円滑かつスピードある移行によって、テナントの事業と雇用の継続を確保」することを目的に、北上都心開発及び地権者27名より区分所有権を約9億4000万円で取得。2025年4月22日に非公開での市議会全員協議会を開催、5月28日の北上市議会臨時会議で「ツインモールプラザ再生事業」に向けた補正予算審議を可決、6月9日に公募型プロポーザルを公告するなど、北上都心開発に代わる新たな運営事業者選定を急いだ。 北上市によるツインモールプラザ北上再生に向けた取組みの一環として、2025年9月30日をもって「全国百貨店共通商品券」「旧さくら野法人商品券(ダックシティ/ダックビブレ発行含む)」を取扱終了、2025年10月6日に新たな運営事業者「リオ・コンサルティング」と基本協定を正式締結、12月14日に百貨店向け化粧品コーナー「資生堂ショップ」を営業終了したうえで、12月15日より「北上市が土地建物を所有」「リオモールマネジメントが旧東館全館をクラソプレイスとして管理運営(電話交換業務など)」「旧北上都心開発系が従来同様に商業フロアの販促を継続しつつ、クラソプレイスの専門店として入居」する極めて複雑な管理運営体制となった。
いわて生協撤退発表やイオンシネマ移転で求心力低下
クラソプレイス北上は2025年12月の新装開業後も、2026年3月に旧北上ビブレ開業以来からの主要テナント「イオンシネマ北上(旧ワーナーマイカルシネマズ北上)」が江釣子移転にともない閉館(賃貸借契約自体は同年2月に終了)、2026年6月には北上都心開発FC系ファストフード「サブウェイ」が閉店、同月中に県域生協系食品スーパー「いわて生協ベルフ北上」が2027年を目処に郊外移転する方針を発表するなど、商業フロアの大幅減少に比例して求心力が大幅に低下していた。 いわて北上リテールマネジメントは、従来同様に「クラソ・プレイス北上内TMさくら野の売場(原文ママ)」として菓子銘店街や百貨店向け高級衣料ブランド「23区」「McGREGOR」に加えて親会社直営寿司店「さくら寿司」などを擁する商業フロアを展開したが、同社直営フロアはアウトドア専門店「好日山荘(FC)」や催事場のみとなっていた。
北上さくら野、名実とも消滅へ
いわて北上リテールマネジメントの破産手続開始にともない、同社が「ツインモール北上さくら野/さくら野百貨店北上店」を掲げる百貨店型販促施策は終了する見通しであるが、旧東館(クラソプレイス)自体はリオモールマネジメントが北上市より全館を一括賃借するかたちで管理運営業務を行っており、大部分の専門店(好日山荘FC店舗などを除く)は9月1日以降も従来通りのかたちで営業継続する。 また、いわて北上リテールマネジメントと旧親会社「さくら野百貨店(本社:青森市)」に資本関係はなく、青森県内さくら野系3店舗も同様に営業継続する。
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