大阪万博:愛知も上海もドバイ万博も訪れた主婦、今回は会社辞めて連日堪能…「パスポート不要の世界旅行」 : 読売新聞
大阪・関西万博は13日で開幕から1か月を迎えた。行方市の主婦、広内富士子さん(57)は連日のように会場を訪れている。1985年に茨城県で開催された「国際科学技術博覧会」(つくば万博)を機に、世界各地で開催される博覧会に行くようになった。「万博はパスポートのいらない世界旅行。国や地域の文化の違いを五感で感じられることが魅力」と語る。(大井雅之)
お気に入りは「パソナ」やマレーシア館
この日も午前9時の開場前から並び、デジタル技術などを体験できる「テックワールド」のパビリオンや参加する国・地域をたたえる「ナショナルデー」の韓国のイベントを満喫した。
広内さんは万博会場の人工島・ 夢洲(ゆめしま) (大阪市此花区)から近い場所でアパートを借りている。「せっかく日本で開催される万博を目いっぱい楽しみたい」とボランティアに当選したことなどから、昨年末には会社を退職した。先月13日の開幕日は始発で駆けつけた。オープニングイベントを見届け、会場内をくまなくチェックした。
この1か月間で回った様々なパビリオンの中で、印象に残っているのは「パソナグループ」の施設だ。「未来の眠り」が体験できるコーナーでは、センサー付きのベッドが体の状態を測定し、マットレスの傾きが変わることで最適な睡眠に導かれる仕組みに驚かされた。
「万博の華」と呼ばれる海外パビリオンでは、マレーシア館で食文化の展示に目を奪われた。「食品サンプルが精巧な上においしそうな匂いもしていた」。他にはインドネシアやタイ、フィリピンなどのパビリオンがお薦めだという。
つくば万博で撮影した記念写真。広内さんは前から3列目、右から3人目=本人提供会場のシンボルとなるのが、世界最大の木造建築物・大屋根リング。「来た人はぜひ上って1周してほしい。リングは下からでも、最高の写真スポットです」と声を弾ませる。これまでに会場内の半分ほどを巡ったといい、「5月中には全てを回りたい」と意気込む。
会場案内のボランティアとしても活動する。「歩き回って見つけた『知識』で少しでも、来場者をサポートしたい」と話す。
きっかけは「つくば」
万博を好きになったきっかけがつくば万博だ。当時は高校生。サントリー館にあったファストフード店でアルバイトのスタッフとしてレジ打ちや飲み物の提供を担当していた。休憩時間は海外パビリオンを巡った。「言葉が通じなくても、海外の人と笑顔で交流できたことが原点になっている」
2005年の愛知万博、人生初の海外旅行となった10年の上海万博、12年の韓国・ 麗水(ヨス) 万博や15年のイタリア・ミラノ万博、21~22年のアラブ首長国連邦・ドバイ万博なども訪れた。各地で知り合った人との再会の場にもなっているという。
広内さんは「建築物、食べ物、ダンスや歌のパフォーマンス――。万博には新たな出会いがきっとある。会場でぜひ見つけてみてほしい」と話す。