昭和29年生まれの私「THE ALFEE」高見沢俊彦さん「今年71歳になりました」 プレイバック「昭和100年」
高校生になった昭和45年ごろから学生運動が下火になり、そのころの若者を指して、「三無主義」(無気力、無関心、無責任)という言葉が使われました。僕らはその走りで、高校生活にも目標がなく、燃えるものがなかったんです。
そんなとき外国バンドの初来日ラッシュが始まりました。高校生の小遣いなんて少ないですが、レッド・ツェッペリンやピンク・フロイド、エマーソン・レイク・アンド・パーマー、フリーなどのライブは生で見ました。灰色の高校生活がパッと明るくなった。ロックが僕を変えてくれたという感じがしました。
英ロックバンド「レッド・ツェッペリン」の東京公演=昭和46年9月、北の丸公園・日本武道館昭和に生まれて良かったと思います。昭和の音楽に出合うことができたわけですから。高校時代は海外のロックのコピーばかりやっていましたね。
明治学院大時代に坂崎幸之助、桜井賢と結成したバンドでデビューしたのは49年。僕はギターで入ったんですが「リードボーカルをやれ」と言われ、ボーカルだった桜井が弾けないギターを弾くことに。そんなバタバタのデビューでしたから、うまくいきませんでした。58年に「メリーアン」がヒットするまで9年かかりました。
典型的な昭和バンド
今年でデビュー51年。昭和、平成、令和と3時代活動していることに誇りを感じ、改めてバンドは長くやることに価値があると思っています。
日本武道館公演で熱唱するTHE ALFEEの(左から)桜井賢、坂崎幸之助、高見沢俊彦=昭和57年昨年末、NHK紅白歌合戦に41年ぶりに出させていただいた後の反響はすごいものがありました。紅白で初めて僕らを知ったという人が多くて、今年のツアーも初めて見に来たという方がたくさんいました。
コロナのときも、家で動画サイトを見てアルフィーを発見した方が多かったみたいです。長くやることで、時代とちょっとマッチしてきたという感じがしましたね。
今は、曲に「イントロはいらない」「ギターソロはいらない」とか言われる時代です。そんな中で「イントロはつけますよ」「ギターソロは入れますよ」という僕らは、本当に典型的な昭和のバンドなんです。
今の感じではないバンドを若い人が見つけてくれるのはやりがいがありますよ。曲作りという意味では、その時代に流行したアレンジを取り入れたり、社会的な風潮を歌詞に取り入れたりということはしてきました。でも、今に迎合するのではなく、自分が感じている平成や令和を「昭和魂」で歌にしていきたいと思っています。
メンバーとは健康の話題
今、71歳です。51年活動をともにする坂崎、桜井と一緒のときは時の流れを感じませんが、高校時代の友人と会うと、それなりに時の長さを感じますね。
アスリートと違って、音楽は年齢で測ることができず、熱とか気持ちがある限り続けられると思っています。長くライブツアーを続けてきたことがある意味、僕ら3人の若さにつながっているのかなという気がします。
THE ALFEEの(左から)桜井賢、坂崎幸之助、高見沢俊彦=東京都渋谷区(土谷創造撮影)メンバー3人で話すときの話題は、やっぱり健康のことが多いですね。「何食ったほうがいい」とか「いま血圧どのぐらいある?」とか。そういうのをお互い知ることが必要です。お互い健康であってこそのバンドライフですからね。
何年やろうと決めたことはないし、こんなに続くとも思っていませんでした。とりあえず今は、通算ライブ本数3000本を目指しています。今年か来年には達成できると思うので、目標にたどりついたとき、その先が見えるのではないかと思っています。(聞き手 森本昌彦)