なぜ欧州は高市首相に会いたがる?トランプと「唯一話せる国」日本が「外交ハブ」になったワケ(ダイヤモンド・オンライン)

● 高市外交が「一人勝ち」の様相  4月16日、NATO本部に駐在する30カ国の大使らが来日して茂木敏充外相を表敬し、船越健裕外務事務次官とも意見交換を行った。また、4月17日には、外務省が英仏主催の「ホルムズ海峡の航行の自由に関する首脳オンライン会合」に寄せた高市早苗首相の書面メッセージを公表した。  欧州各国からは高市首相に次々と会談を求めており、米欧の亀裂が深刻化するなか、トランプ政権と唯一良好な関係を維持する日本が、アメリカと欧州をつなぐ「外交ハブ」として浮上している。英仏主導の首脳オンライン会合に日本がメッセージを発し、NATO本部駐在の大使団が一斉に来日したことは、欧州側が“日本経由の回線”を強く意識し始めた兆候ともいえる。  イラン戦争、ホルムズ海峡の逆封鎖、スペインの中国シフト、メローニ首相とトランプ大統領の決裂など、混乱する国際情勢の中で、高市外交が「一人勝ち」しているように見えてくる。 ● 最悪のタイミングでの日米首脳会談  2026年2月28日、アメリカとイスラエルが協調してイランへの大規模攻撃を開始した。最高指導者ハメネイ師が死亡し、革命防衛隊の指揮系統は混乱。イランは直ちに報復ミサイルを中東各地の米軍基地に撃ち込み、「ホルムズ海峡の封鎖」を宣言した。  世界のエネルギー供給の約2割が通過するこの海峡が封鎖され、通過船舶1隻あたり最大約200万ドルの通行料をイラン革命防衛隊が強制徴収し始めた。インフレと物不足が加速し、世界の株価は大幅に下落した。  トランプ大統領が「2〜3週間で終わる」と述べていたこの攻撃は、イラン側の抵抗で先が見えなくなっていく。4月8日にパキスタンの仲介で2週間の暫定停戦が成立したものの、4月12日のイスラマバード協議は21時間超の激論の末に決裂。翌13日、トランプ大統領は米海軍に「逆封鎖」を命令した。

 こういった最悪のタイミングで行われたのが、イラン攻撃前に予定を立てた3月19日の日米首脳会談だった。欧州各国がトランプ大統領との関係を悪化させる中、高市首相にとってこれ以上ない「難しい訪米」となった。トランプ大統領はホルムズ海峡での協力を強く求め、自衛隊の艦船派遣を迫ることが事前から予想されていた。  だが、高市首相は「法律の範囲内でできること、できないことがある」と丁寧に説明し、派遣を確約せずに切り抜けた。日本の野党とマスコミは高市首相を攻撃したのとは対照的に、『ニューヨーク・タイムズ』紙は「ほぼ無傷で乗り切った」、ブルームバーグは「国際舞台における機敏さを存分に示した」と評した。 ● 「国際法違反」で反発したマスコミと野党  アメリカによるイラン攻撃は、国連安保理の授権なしに行われた。この点について、国内の主要メディアや野党の多くは「国際法違反だ」として高市政権の「アメリカ支持」姿勢を批判した。  国連憲章の観点からは議論の余地がある行動だろう。中国外務省も「国連憲章の趣旨・原則を踏みにじる」と強く非難した。  欧州主要国の首脳の中では、スペインのサンチェス首相が「国際法に違反する」と最も強硬に批判した。  フランスのマクロン大統領やイタリアのメローニ首相も「国際法の枠外にある」というマイルドな表現での批判にとどめ、ドイツのメルツ首相やイギリスのスターマー首相は国際法違反への明確な言及を避けたのと対照的だった。  だが、この「国際法違反」論には慎重な評価が必要だ。  イランが公然と核開発を進め、中東各地に散らばるシーア派反政府勢力を支援して「革命の輸出」を拡げ、イスラエルやサウジアラビアへの攻撃能力を高め続けていた事実、交渉の破綻経緯、そして地域安定への脅威の深刻さを考えると、1つの「違反」で断罪できるほど単純な話ではない。  特にフーシ派の拠点となっているイエメンについては、インフラや医療・食料供給の崩壊によって数十万人の子どもたちが死んでいる。第一期トランプ政権で、トランプ大統領はイエメン救済のためにイラン革命防衛隊の締め付けとイエメン内戦停戦に尽力している経緯もある。「元凶のイラン革命防衛隊を叩かなければ、イエメンは救えない」というのは、国際政治に関わる誰もが感じている本音ではないだろうか。

ダイヤモンド・オンライン
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