「紙の申請も残して」スマホ必須の東京ポイント給付に住民13人が怒り…都を提訴「デジタル専制主義だ」

東京都が公式アプリを通じて、都民に1万1000円相当のポイントを配る「東京アプリ生活応援事業」。物価高に苦しむ都民の暮らしを支えるはずの制度が、思わぬ裁判に発展した。

スマートフォンとマイナンバーカードがなければ申請できない仕組みは違法だとして、都内在住の男女13人が10月28日、都を相手取り、1人あたり11万1000円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

原告の1人、榎本清さん(77)は提訴後の記者会見で「誰もが使えるように、今まで通りの紙や窓口での申請と、現金給付をしてほしい」とうったえた。

訴状によると、「東京アプリ生活応援事業」は、国の物価高対策のための臨時交付金を活用した東京都の事業だ。

都の公式アプリ「東京アプリ」でマイナカードによる本人確認をした都民に、1万1000円相当の「東京ポイント」を付与する。

実施期間は今年2月2日から2027年4月1日まで。申請にはスマホとマイナカードが必要で、紙や窓口での申請、現金による給付といった代替手段は用意されていないという。

原告側が問題視しているのは、スマホもマイナカードも、法律上は所持を義務づけられていないという点だ。

原告側は、こうした制度設計が、住民には自治体のサービスをひとしく受ける権利があると定めた地方自治法10条2項や、法の下の平等などを保障する憲法に違反すると主張している。

東京都も今年7月から、デジタル機器の操作に不慣れな住民のために、申請手続きを手助けする対面サポートを実施している。

しかし、原告側は、対面サポートについて、スマホとマイナカードを使った申請を手ほどきするものにすぎず、「使わない、使えない都民にとっては、まったく意味がない」と批判している。

訴状では、こうした都の姿勢を「デジタル専制主義の典型」と表現している。

「デジタル申請に馴染めない都民は『都民ではない』と被告が考えている」

原告側は、ポイント相当額の1万1000円を経済的不利益として、精神的苦痛に対する慰謝料10万円と合わせ、1人あたり11万1000円を請求している。

「東京アプリ」の画面(2026年9月2日、東京都江戸川区で、弁護士ドットコムニュース撮影)

提訴後、原告4人が東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。

原告の榎本さん(77)は、「デジタル申請そのものを否定しているわけではない」と強調したうえで、次のように語った。

「スマホとマイナンバーカードがないと手続きができない人は確実にたくさんいて、そうした方々には生活応援が届かない。

私たちが怒っているのは、それなのに東京都が何もしないということ。誰でも申請できるように、今まで通りの紙の申請、窓口申請と、現金給付をしてほしい。

裁判を契機に、東京都に考え直してもらって、それを補完する形でアナログな方法を復活させてほしい」

榎本さんによると、原告らには弁護士に依頼する「お金がない」ため、今回の裁判は弁護士をつけない「本人訴訟」で争うという。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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