米財務長官と通商代表、中国と貿易で閣僚級協議へ-今週スイスで会談

ベッセント米財務長官とグリア米通商代表部(USTR)代表が今週スイスを訪問し、中国当局と貿易協議を行う。米財務省と中国外務省が発表した。米中の通商対立が双方の経済を直撃しかねない現状を受け、緊張の緩和に動く。

  トランプ米政権が中国製品に合計145%の追加関税を課し、中国側も報復関税の税率を125%に引き上げた後、米中の閣僚級の正式協議開催が確認されるのは今回が初めて。

  中国外務省は7日、同国を代表し対米貿易交渉に臨む何立峰副首相が9日から12日の日程でスイスを訪問し、ベッセント財務長官と会談すると発表した。

  ベッセント氏はFOXニュースとのインタビューで、10、11日に中国側と会談を予定していると明らかにした。貿易の大きなディールではなく、緊張緩和が焦点になると同氏は述べ、「前進する前に緊張を徐々に緩和する必要がある」と発言した。

  米中の関税の応酬は製造装置にとどまらず、多くの米国民が必要とする衣料品や玩具など手頃な商品の価格を押し上げる恐れがあり、市場を動揺させた。予定される協議は、関税引き下げへの投資家の期待を後押しする可能性がある。

  中国商務省は米側との会談の予定が公表された後、米国は今後の協議で誠意を示すとともに誤った対応を是正し、「対等な話し合い」を通じて双方の懸念を解決すべきだと声明で主張した。商務省によれば、米側からの話と国益を評価した結果、会談に同意したという。

  ベッセント氏は「中国はこれまでの交渉で欠けていた部分だ。緊張緩和について話し合うことになるだろう。米中には共通の利害がある」とインタビューで指摘。「145%、125%というのは禁輸措置も同然だ。持続可能ではない。われわれが望むのは、中国とのデカップリング(経済分断)ではなく、公正な貿易だ」と語った。

米下院の公聴会に出席するベッセント財務長官( 5月6日)

  米中協議の開催が確認されると、貿易を巡る米中の緊張緩和に期待が広がり、アジア時間7日午前の取引で、米株価指数先物とドル相場が上昇し、米国債先物は下落した。S&P500種株価指数先物は一時1.1%、ナスダック100指数先物は1.3%それぞれ上げ、円の対ドル相場は一時0.5%安の1ドル=143円23銭となった。

  ベッセント財務長官は「戦略的な不確実性」というトランプ政権の手法について、交渉で米国に有利に働く一方、市場を不安にさせる恐れがあると認めた。トランプ大統領がどのような条件なら受け入れるか自分と大統領は理解しているが、それらの詳細を公にするつもりはないと説明した。

  トランプ氏はここ数日、対中関税をいずれ引き下げる用意があると発言。しかし、今週に入ると中国と取引しなくても米国が「失うものは何もない」と語った。中国との通商関係の再調整に向け、米消費者は、価格上昇や選択の余地が狭くなる状況を受け入れるだろうと述べていた。

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原題:US-China Trade Talks to Start This Week Focused on De-Escalation、China Vice Premier He Lifeng to Meet With Bessent: China’s Mofa、US Stock Futures Gain on Optimism for US-China Trade Talks(抜粋)

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