アントネッリはノリスに4位を譲った? レッドブル相談役マルコの指摘にメルセデス代表も激怒「頭がおかしくなりそうだ」
F1カタールGPのレース終盤には、マクラーレンのランド・ノリスがミスをしたアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)を交わして4番手に上がるというシーンがあった。これに対してレッドブルの重鎮であるヘルムート・マルコは陰謀論めいた主張をしているが、メルセデスのトト・ウルフ代表が強く反論した。
マクラーレンのノリスとオスカー・ピアストリ、そしてレッドブルのマックス・フェルスタッペンの3人は現在ドライバーズタイトルを激しく争っている立場。戦略ミスによって5番手にポジションを落としていたポイントリーダーのノリスは、トップを走るフェルスタッペンに一気に点差を縮められてしまう危機にあった。そんな中でアントネッリのミスにつけ込む形でひとつポジションを上げ、ダメージを軽減することができたのだった。
レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるマルコ博士は、アントネッリがレース中盤ピアストリに簡単に抜かれてしまったのも、そして終盤にコースオフしてノリスに先行されたのも、意図的な行為だったのではないかと指摘。「彼は2度も手を振ってランドを先に行かせた(原文ママ)」とコメントした。
こういったマルコのコメントには、ウルフ代表も呆れかえっている様子。彼は皮肉たっぷりにこう語った。
「彼(マルコ)には『お大事に』と言いたい。まったくもってナンセンスで、聞いて頭がおかしくなるかと思った」
「我々が(コンストラクターズ)選手権で2位を争っている重要な局面で、キミは3番手を走っていたんだ。なのにそんなことを言うなんて、どれだけ頭が悪いんだ?」
「正直腹が立つ。今日のレース展開にも腹が立っているし、最後のミスにも腹が立っている。そこに加えてこのくだらない話だ。聞いていて呆れる」
またレッドブルでフェルスタッペンのレースエンジニアを務める“GP”ことジャンピエロ・ランビアーゼも無線でマルコと同じようなことを主張していたが、ランビアーゼとウルフは直接話してわだかまりを解消している。
「GPとは話をした。彼はあの瞬間、ポジションひとつひとつが重要だったこともあって感情的になっていた」
「そこで話をしたが、彼(アントネッリ)はコースオフしただけだ。その前のコーナーでマシンが不安定になり、次の左コーナーへの進入速度が落ちた。それでアクセルを踏んだらああなった。GPとは既に誤解は解けている。彼は詳しい状況を見ていなかったと言っていた」
「なぜ我々がそんなことをするのか? なぜドライバーズチャンピオン争いに干渉するなどという考えにそもそも至るのか? 幻覚でも見ていないか確かめた方がいい。SNSでも話題になっているとGPに伝えたが、彼は『自分が原因なら申し訳ない』と言った」
上述のように、ウルフ代表はメルセデスのレース展開自体にも不満を示していた。4番グリッドから発進したラッセルはグリッドのダーティサイドからのスタートでポジションを落とし、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)を先頭とするトレインに長らくハマったことでペースを抑えられた。結果的にラッセルは6位に終わった。
「ジョージがフリーエアで走ったとき、1分23秒2というタイムだった。これはその前のタイムより1秒も速かった。今のマシンは空気が乱れると一気にパフォーマンスが落ち、タイヤも劣化してしまい、挽回が難しくなる」
「だからこそ、今回の我々のマシンには速さがあったと思っている。それは予選の結果からも明らかだ。スプリントレースでも速かった。今日も速かったが、ピットストップで順位を落とし、レースでもミスをしてまったら結果はこうなる。もしフリーエアのまま走れていたら、上位を争えただろう」