鈴木誠也と15差も…大谷翔平が「絡んでくる」 熾烈な打点王争い、専門家指摘する条件
カブスの鈴木誠也外野手はメジャー4年目の今季、6月を終えた時点で69打点をマーク。ダイヤモンドバックスのエウヘニオ・スアレス内野手と並びナ・リーグトップタイに立っている。昨季打点王のドジャース・大谷翔平投手は15差の54打点。シーズン後半戦へ向けて、日本人同士のタイトル争いにも期待が高まる。
「私は誠也のメジャー移籍当初から、彼こそ歴代の右打ちの日本人野手で一番いい成績を残すだろうと予想していました。今季は本領を発揮し始めましたね」。こう目を細めるのは、鈴木のプロ1年目から3年目まで広島1軍打撃コーチとして指導した野球評論家・新井宏昌氏だ。「広島時代から、レフトからライトまでグラウンドの全てを使える広角的な打ち方が抜群でした」と指摘する。
今季の鈴木は打率こそ.258にとどまっているが、本塁打もシーズン半ばにして早くもメジャー移籍後自己最多を更新する22本(日本時間7月1日現在、以下同)。ナ・リーグ中地区で首位に立つカブスに貢献している。
そのカブスは打線が好調で、今季453得点、チーム打率.256がいずれもドジャースに次いでナ・リーグ2位。新井氏は活発な打線が鈴木のタイトル争いにプラスに働くと見ている。
大谷にも見えた“変化”「打点王争いに絡んでくる」
「鈴木の後ろの4~5番を打つ“PCA”ことピート・クロウ=アームストロング外野手は21本塁打、62打点で鈴木に拮抗。カイル・タッカー外野手(打率.291、17本塁打52打点)、マイケル・ブッシュ内野手(14本塁打49打点)、イアン・ハップ外野手(12本塁打43打点)らも好調です。チームメートに多くのライバルがいて、いい刺激を受けているでしょうし、鈴木だけが特別にマークされて勝負を避けられることもないでしょう」と指摘。もちろん、ランナーが塁上を賑わし、打点を挙げるチャンスで打席に入るケースも多そうだ。
新井氏はまた、「最終的には大谷も追い上げ、打点王争いに絡んでくると思います」と予想する。「今季の大谷は得点圏打率が低い(.226)と指摘されていますが、ここに来てタイムリーが出始めました」と吉兆を感じ取っている。
さらに「メジャーで日本人野手といえば、イチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)のようにコツコツとヒットを積み重ねるイメージが強いと思いますが、打点を稼げるクラッチヒッターに最も価値があるといわれるメジャーにおいて、大谷と鈴木が打点王争いを繰り広げれば、日本人野手自体のイメージが変わり、ひいてはメジャーのスカウトの日本人選手を見る目も変わるのではないでしょうか」と力を込める。
「2人の一騎打ちになることを期待したいですね」と新井氏。そんなことになったら、今後海を渡ろうとする若い選手たちの評価まで、変えるかもしれない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)