BRICS外相会合、保護主義に懸念表明 共同声明採択には至らず
[リオデジャネイロ 29日 ロイター] - ロシアや中国、インドなどの主要新興国で構成する「BRICS」は29日、ブラジルのリオデジャネイロで外相会合を開いた。共同声明の採択には至らず、各国の相違が浮き彫りになったものの、議長国ブラジルは貿易保護主義に対抗する議長声明を発表した。
声明によると、BRICS外相は「世界経済の分断と多国間主義の弱体化の可能性に対する深刻な懸念」を表明した。
声明は米国を名指ししなかったが、トランプ米政権は保護主義への傾斜を強め、一方的に関税を導入しており、世界経済の減速懸念が高まっている。
外交筋は、共同声明が採択されなかったのは予想外だったとした上で、7月にリオデジャネイロで開かれるBRICS首脳会議までに相違点を解消する余地があると指摘した。
BRICSには当初からのブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国に加え、エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、エチオピア、インドネシア、イランが新たに加盟した。
声明によると、外相は「無差別な相互関税引き上げや非関税措置を含む、世界貿易機関(WTO)のルールに整合しない一方的な保護主義措置の台頭に深刻な懸念」を表明した。
声明は11カ国の幅広い合意を反映しているが、関係者によると、米国との貿易戦争で145%の関税に直面する中国が、より厳しい姿勢を求めたという。
ブラジルのビエイラ外相は記者団に対し、声明に盛り込まれた通りBRICS外相は関税問題について合意に達したと言及。7月のBRICS首脳会議で共同声明を採択できるよう取り組んでいると述べた。
最終的な宣言が「議長声明」にとどまったのは各国が全ての問題で合意に至らなかったためで、ブラジル、インド、南アフリカが長年望んできた安全保障理事会を含む国連の改革を求める文言の一部をエジプトとエチオピアが受け入れなかった。
外交筋によると、アフリカの新メンバーは改革後の安全保障理事会の優先候補国として南アフリカを推薦することに異議を唱えたという。
同外交筋は「(BRICS)拡大にはコストがかかる。合意に達するのに一層の努力が必要になる。だが同時に、拡大したグループはより大きな力や資源、協力余地を得ることになる」とロイターに語った。
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