木は枯れ、ベンチは灼熱化 巨額を投じたローマの「暑さ対策広場」が示す猛暑の厳しい現実

ローマ(CNN) イタリアの首都ローマのリソルジメント広場。待望の日陰を作るために新しく植えられた木々は、黒焦げになっていた。濃い色のプラスチック製や木製のベンチは、焼けるように熱かった。大きな植木鉢の中には葉が完全になくなっているものもあった。入口に沿って植えられた低木も、焦げたようなオレンジ色に変色していた。 【写真特集】木は枯れ、ベンチは灼熱化 ローマの「暑さ対策広場」が示す猛暑の現実 サン・ピエトロ大聖堂を間近に望むこの公園は、観光客と地元住民にとって緑豊かなオアシスとなるはずだった。だが、CNNが先月下旬に訪れた際には、カラカラに干からびているように見えた。 この中央広場は、バチカンの「聖年」に向けた準備の一環として、1400万ユーロ(現在のレートで約25億円)の予算を投じ、2024年に改修された。このうち400万ユーロが、広場周辺の木々、噴水、十分な座席の設置、舗装の撤去などに充てられた。だが、猛暑と灌漑(かんがい)不足が重なり、木々は枯れ、日陰はなくなり、座席は熱すぎて腰を下ろせない状態になっている。 ローマ市は、木々を植え替え、灌漑設備を改良するとしている。新たな木々を迎える準備として、枯れた植物の一部はすでに伐採された。 「私たちは、変化する気候にどう対処するかを絶えず学んでいる」と、ローマ市気候局のエドアルド・ザンキーニ局長はCNNに語り、改修された広場には別の種類の木を植えるべきだったと認めた。「一年で最も暑い時期に市内に誰がいるのか、つまり高齢者、若者、観光客、住民たちのことを常に考えなければならない」 CNNがこの広場についての動画記事を公開した翌日の先月31日、ローマ市の農業・環境・廃棄物管理担当評議員であるサブリナ・アルフォンシ氏は、広場で黄色いホースを手にし、最近植えられた植物に水をやる様子を撮影した動画を投稿した。 「ここ数週間、ここに植えられた植物について多くの議論がなされてきた。確かに一部の植物は、例外的に激しい熱波の中で持ちこたえられなかった」と説明。「現在は、ご覧の通り手入れが行き届き、元気に育っている」と語った。 アルフォンシ氏は、広場の状態をめぐる右派野党議員からの批判に言及し、彼らの多くが長年にわたり気候変動を否定してきたことを考えると皮肉な話だと述べた。 気候変動が引き起こす猛暑への対策は、欧州の一部地域が相次ぐ熱波に見舞われる中、今夏、欧州の各都市が直面する最優先課題の一つとなっている。十分な日陰の確保、冷却センターの建設、アスファルトの撤去、植樹などは、気候活動家や都市計画家から解決策として提唱されている。だが、ローマの広場が示すように、以前より早く到来し、長く続き、激しさを増す猛暑に対応した設計を行うことは極めて難しい。 夏の暑さが常態化している南欧では、暑さ対策が必要不可欠となり、費用もかさんでいる。ローマ市は今後5年間で約5000万ユーロを投じ、ホームレスから観光客、保育施設にいる子どもまで、誰もが暑さをしのげる空間を整備する方針だ。 イタリアでは、何らかの冷房設備がある住宅は全体のわずか56%にとどまる。このため市は、市民が冷房の効いた施設を利用できるように対策を進めている。ローマ市は先月下旬、一日で最も暑い時間帯に映画館を無料で開放し、人々が涼めるようにする取り組みを導入した。 またローマ市はここ数年、人々が確実に水分補給できるよう「ウォーターハウス」と呼ばれる緑色の給水所を数百カ所に設置してきた。ここには水飲み場と携帯電話の充電設備が備えられており、炭酸なしと炭酸入りの水を無料で提供している。これは、市内各地で無料の水を提供するため、1800年代に設置された約2500基の鋳鉄製水飲み場「ナゾーニ」を現代風にしたものだ。 米ニューヨーク市から訪れた観光客のジョアン・ウェイバリーさんはCNNに対し、ローマが夜になってもこれほど暑いとは思わなかったと語った。「コンクリートや石畳が熱を放射し、気温もまったく下がらない。ここで人々がどうやって暮らしているのか、見当もつかない」 ウェイバリーさんは早朝の観光に切り替えた。一方、夜遅くまで市内を見て回る人もいる。パンテオンやコロッセオをはじめとする観光施設は、太陽が照りつけていない時間帯に見学できるよう、午後7時から11時までの夜間開館時間を新たに導入している。 ローマ市のグアルティエリ市長は、木々と緑地が市の暑さ対策の鍵だと語る。「熱波の激しさは、もはや例外ではなく、当たり前のものとなっている」と、先月初めに市の暑さ対策計画を発表した際に話した。この計画では、冷房設備を持っていない、あるいは購入できない住民が多い特に暑さの厳しい地区を中心に、数千本の木が植えられる予定だ。 「重要なインフラを圧倒し、都市の暮らしやすさを損ない、最も弱い立場にある住民に最も深刻な打撃を与えかねない影響を前に、ローマが立ち止まるわけにはいかない」とグアルティエリ氏は述べた。 ローマは他の多くの都市と同様、アスファルト舗装を撤去し、表面を太陽光反射材や多孔質素材に置き換えている。また、無料映画館の取り組みをはじめ、人々が集まれる冷房の効いた施設など、「気候シェルター」の数も増やしている。

CNN.co.jp
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