第二次大戦期の超難解暗号マシン「エニグマ」に現代のAIが挑んでみた
今の技術が相当すごいってことを再確認。
1930年代〜40年代、数学者アラン・チューリングと連合国の暗号解読者たちは、ナチスが第二次世界大戦中に使用したドイツの暗号化機械「エニグマ」を解読するために莫大な努力を注ぎました。
そんな超難解だったエニグマの暗号ですが、現代のコンピューターと人工知能は、エニグマの暗号を苦労せずに解読することができるとのことです。
ポーランドの暗号解読機
「エニグマは現代のコンピューティングと統計学に立ち向かうことはできないでしょう」と、オックスフォード大学のコンピューターサイエンス教授Michael Wooldridge氏はガーディアン紙に語っています。
1930年代、ポーランドの暗号解読者たちは、一時は150,000,000,000,000,000,000ものパターンがあったエニグマの解読という困難な任務に取り組み始めました。ポーランドの情報局は「ボンバ」と呼ばれる暗号解読機の開発に成功しています。
小さな発見が暗号解読の鍵だった
しかし、ドイツはエニグマの暗号をさらに複雑にし、ドイツ侵攻の脅威が迫る中、ポーランドの情報局は解読した暗号やボンバの情報などを、イギリスとフランスに引き渡します。
アラン・チューリングを含むイギリスのチームは、ポーランドの成果をもとに暗号解読を始めます。エニグマ暗号の弱点、例えば暗号にしたときに、同じ文字には暗号化されないということを利用して解読の仕方を見つけ出したのです。
「エニグマはメッセージが暗号化される可能性のある方法の数が天文学的に大きかったので、人間が徹底的にチェックするには、あまりに大きすぎる数でした」とWooldridge氏は説明しています。ボンバは膨大な数の可能な解読を自動的に選別する機械式コンピューターだったとのことです。
現代の人工知能がまさにそのために訓練されていますよ。科学者が手作業で計算するには、信じられない時間がかかる膨大なデータの中からパターンを見つけること。だからこそ、アラン・チューリングが理論的コンピューターサイエンスと人工知能の父と考えられているのは当然のことです。チューリングが自分の死後に、自分が確立したこの分野がどれほど進歩したかを知ったらびっくりするでしょうね。
AIには勝てない
「ボンバの論理をChatGPTなどのプログラムで再現することは簡単でしょう。そして現代のコンピューターでは、ボンバがやっていた膨大な作業は非常に短時間で完了するでしょう。なので、エニグマは現代のコンピューターにはまったく太刀打ちできないでしょう」とWooldridge氏は述べています。
ChatGPTにこの件を直接確認してみました。
すると、「Wooldridge氏の引用は概ね正確です:エニグマは今日では全く勝ち目がないでしょう。しかし、それはChatGPTのようなAIだけがそれを破れるからではなく、現代のコンピューティングが連合国のボンバが行なったことを容易にシミュレートでき、それをはるかに速く行なえるからです」と答えてくれました。
今の技術ならできる、というのはチューリングたちの素晴らしい業績の価値を変えることはありません。彼らの努力のおかげで、戦争を2年も早く終わらすことができたと言われています。