プーチンもいよいよ停戦後を視野か?制裁強化の欧州の中でドイツがロシア“接近”の動き―この意味することとは?(Wedge(ウェッジ))
日本政府関係者が今年5月26日から27日、ロシアを訪問した。NHKは、経済産業省等の幹部がロシア政府や経済団体の担当者と会談し、ウクライナ侵攻に伴う制裁を続ける中でも、ロシアに所在する日本企業の資産の保護をめぐって意思疎通を続けていくことの重要性を確認したと報じた。 【画像】プーチンもいよいよ停戦後を視野か?制裁強化の欧州の中でドイツがロシア“接近”の動き―この意味することとは? ロシアがウクライナ侵攻を開始して4年4カ月が経過。ウクライナ東部の戦線は膠着状態が続くが、これとは対照的に、ロシアをフィールドとする「経済戦線」は様変わりした。 ウクライナ侵攻前、ロシア最大の貿易パートナーは欧州で、貿易高全体の35〜40%を占めていたが、2025年は約10%に落ち込み、代わって急激な中国シフトが起きた。ロシアと中国の貿易高は目下30〜35%を占めるが、第三国経由を勘案するとロシアの中国からの輸入品への依存度は57%に及ぶとされる。 ロシアのデータベース会社Rusprofileによれば、中国資本によりロシアで設立された企業数は21年の1434社から26年2月には1万4798社へと大幅に増加。26年第1四半期だけでも、中国企業がロシア国内に設立した新会社は1400社に上るという。 その一方、5月29日付の露紙Vedomostiによると、26年に入ってからロシア市場に新規参入した欧米ブランドは1つもない。ロシアに融和的なトランプ米国政権と異なり、特に欧州は一貫して厳しい対ロ政策を維持している。 そうした中、知っておいた方がいい動きがある。
今年6月3日から6日に開催されたサンクトペテルブルク国際経済フォーラム(St. Petersburg International Economic Forum:SPIEF)に、ドイツ企業家・議員で構成される代表団が数年ぶりに公式参加した。在露ドイツ通商会議所のマティアス・シェップ会長は、「他の主要な西側諸国と同様、われわれもロシアとの経済的な架け橋を維持したいと考えている。とりわけ停戦合意後を見据えてのことであり、また1000億ユーロ以上と評価されるロシア国内のドイツ資産を保護するためでもある」とSPIEF参加の理由をドイツDPA通信に述べている。 移民・難民対策への強硬路線で知られる右派ポピュリスト政党AfD所属の連邦議会議員マルクス・フロンマイヤー氏は「われわれはロシアの人々に、将来も中国車ではなくMercedesに乗っていてほしいと考えている」と述べ、「ロシアで何らかの形で事業を継続しているドイツ企業は約1500社。ドイツの議員団のサンクトペテルブルク訪問は『視察』であり、ドイツ企業が再びロシアで事業を行いやすい環境を整えることが目的」と説明したと、ロシアメディアFondsk.ruは報じた。さらに、フロンマイヤー氏は、ガスプロムのアレクセイ・ミレル社長やロシア直接投資基金(RDIF)のキリル・ドミトリエフ総裁との会談において、ノルドストリーム・ガスパイプラインの稼働再開を呼びかけたとされる。 SPIEFのタイミングにあわせ在露ドイツ通商会議所は、サンクトペテルブルク新事務所の開所式も行っている。ロシア産業家企業家連盟(RSPP)のアレクサンドル・ショーヒン会長は、「一部の企業がロシア市場に背を向けている中で、ドイツ企業がロシア市場を放棄していないというシグナルを発している」と歓迎の言葉を寄せた。