警察に並ぶ段ボール、「置き配」人気の裏で…誤配送の落とし物38倍 [愛知県]:朝日新聞

 インターネット通販で購入した商品が誤った住所に配送され、警察に届けられるケースが愛知県内で急増している。「置き配」利用が増加した影響とみられ、県警によると、2024年は1147点と19年の30点に比べて38倍も増加した。県警の担当者は「このまま増え続けると、業務を圧迫する可能性もある」と頭を抱えている。

 2月初旬、県警岡崎署の遺失物保管庫の一角がネット通販の段ボール箱や紙袋で占められていた。中身はオーブントースターや紙パック飲料など、その数は50点以上。ほとんどは「玄関先に心当たりのない荷物が置かれていた」と、署や交番に届けられたという。

 「置き配」は、ネット通販などの荷物を玄関先といった指定場所に置くことで配達が完了する。受取人が配達員と対面する必要や、配達側も受取人不在時に再配達する必要がないといったメリットがあり、コロナ禍以降、急速に拡大した。

 しかし、受取人が配達時に商品を確認しないため、誤配送のリスクが生じる。通販大手によると、配達ドライバーの確認ミスだけでなく、転居したが通販サイトの登録住所を変更していなかったなど、注文者側の原因もあるという。

落とし物、その後どうなる?

 宅配大手は誤配送を減らすため、「対面の配達ができない場合には、住所や表札、送り状の情報の確認を徹底するよう指導している」と回答した。別の宅配大手は、GPS(全地球測位システム)を活用した誤配送を防ぐシステムの開発に取り組むなど、対策を進めている。

 しかし、特に通販サイトのセール期間中ともなると、岡崎署には誤配送の宅配物がほぼ毎日届けられる。署は通販の事業者などに連絡して引き取りを求めるが、多くは複数の部署を経て、「(注文者には)新しい物を届けるので、廃棄してほしい」と要請されるという。

 遺失物法の規定により、届けられた遺失物の所有者が3カ月現れなかった場合は、売却されて県の収入となるか、ごみとして廃棄処分される。

 署の担当者は「引き取ってもらえるケースは1%もない。不用品を押しつけられているようなもの。事業者には責任を持って注文者に届けてほしい」と訴えている。

誤配送があった場合の対応方法

●アマゾン:自宅に自身が注文していない荷物が届いた場合、カスタマーサービスに連絡する。電話窓口は設けていない

日本郵便:最寄りの郵便局か、お客様サービス相談センター(0120・23・2886)に連絡する。担当者が荷物を回収する

ヤマト運輸:サービスセンター(0570・200・000)やホームページのチャットボットで連絡する。担当者が荷物を回収する

ファンケル:外箱や、外箱に張り付けられたラベルに記載された電話番号に連絡し、ラベルに記載された住所やお客様番号を伝える。配達業者と連携し、回収・再配達の手続きを進める

※各社への取材による

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この記事を書いた人

浅田朋範
ネットワーク報道本部
専門・関心分野
共生、貧困、裁判

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