八木勇征 映画『SAKAMOTO DAYS』で芽生えたアクション熱

鈴木祐斗氏の人気漫画を原作に、福田雄一監督がメガホンを取った実写映画『SAKAMOTO DAYS』が2026年4月29日より全国公開。本作で八木が演じるのは、殺連直属の特務部隊「ORDER」の一員である神々廻。これまで演じたことのない“京都弁を話すクールな殺し屋”という新境地を開拓し、そして本格的なアクションシーンにも果敢に挑んだ。八木にとって、大ファンだった福田監督作品への初参加は大きな財産になったようだ。

(写真/上野裕二)

八木勇征(やぎ・ゆうせい)

1997年5月6日生まれ、東京都出身。FANTASTICSのボーカル。俳優としても活動しており、近年の出演作に『推しが上司になりまして フルスロットル』(2025年)など。『LOVED ONE』(フジ系)が26年4月8日よりスタート、実写映画『SAKAMOTO DAYS』が4月29日公開

 僕が演じた神々廻(ししば)の所属する「ORDER」は、プロの殺し屋を統制する日本最大規模の組織「日本殺し屋連盟(通称・殺連)」直属の特務部隊。坂本(目黒蓮)の殺し屋時代の同期である南雲(北村匠海)を中心に結成されています。そこで大切だなと感じたのは、神々廻と後輩・大佛(生見愛瑠)のコンビ感。「どこか達観した神々廻と少しとぼけている大佛」という2人の空気や会話のテンポは大切にしたいと思っていました。

 でも、段取り(リハーサル)をしたとき、生見さんが演じた大佛のテンションが、僕の頭の中にあったキャラクターイメージそのもので! そのおかげで、僕は自然と神々廻として大佛に接することができたんだと思っています。

 僕と生見さんは、もともと持っている空気が似ていたので、すぐに居心地のいいコンビになることができたような気がしています。話していたのは、おいしいご飯屋さんやマッサージのことばかり(笑)。ハードな撮影の裏での神々廻と大佛は、ほんわかしたムードに包まれていました。

 福田監督は、キャラクタービジュアルに完璧を求めたそう。神々廻の特徴と言えば、金髪のロングヘアにツリ目。しかし、どちらかと言えばタレ目の八木は「神々廻に見えるかどうか」という点で少し不安を抱えていたと打ち明ける。しかし、そんな心配は杞憂(きゆう)に終わり、福田組のビジュアル作りには全幅の信頼を置いていたと話す。

(写真/上野裕二)

 神々廻は金髪の長髪、さらにツリ目というビジュアルなので、僕が演じることできちんと神々廻に見えるかどうかは不安だったポイントでした。でも、完璧なキャラクタービジュアルを求める福田監督の姿勢を見ていると、「このチームを信頼すれば大丈夫」だと感じたんです。

 監督はヘアメークさんたちと、生え際や眉毛の部分などまで細かく話し合いを重ねられていたのですが、特に悩まれていたのは髪形。ただ、あれだけ長髪になるとウィッグもそれなりの重さになるので、見た目はよくてもアクションがうまくできなくなる可能性があり、そうなると意味がない。そこで細かいレイヤーを入れながら、長さはそのままで軽量化をしてくださいました。さらに、神々廻が動いたときに臨場感や迫力が出る髪の動きまで計算されているそうで。原作通りかつ、アクションの映える髪形に仕上がりました。

 ただ、これには監督チェックが厳しすぎて、完成までにかなり時間がかかったそうです(笑)。でも、それだけ時間をかけて作られた神々廻の衣装を身にまとった自分の姿を見たとき、「これなら絶対に大丈夫」と安心できたんです。さらに、これだけすてきなビジュアルを作っていただいたからには、完璧な神々廻を演じなければと、より一層気が引き締まりました。

 声に関しては、「アニメには引っ張られないようにしよう」というのは気をつけていた点です。とは言え、僕はもともとアニメを見ていたので、その声のイメージがこびりついていて……。一度頭をクリアにして、自分の中にある神々廻のイメージを膨らませていきました。すると、自然と声のイメージが湧いてきて、その声を現場で試してみたんです。すると、監督から「神々廻にピッタリだ!」と言っていただけて、ひと安心しました。

 『SAKAMOTO DAYS』に欠かせないのが、アクションシーンだ。主演の目黒蓮をはじめ、キャストが体当たりで本格的なアクションを見せている。八木は、今作で初めてアクションシーンに挑戦。クランクインの1カ月前から、アクション稽古に励んでいたという。

 最初はなかなか「映像映えするアクション」の体の使い方がつかめなかったそうだが、アクションチームと二人三脚で高い壁を乗り越えたと話す。

(写真/上野裕二)

 いつも楽しい福田組でも、アクションシーンでは緊張感が漂っていました。特に、監督はいいものができたときとそうでもないときとで、リアクションの違いが分かりやすい!(笑) 納得のいくものができるまで、何度もやり直しながら、チームみんなで100%を目指していくのがすごく心地よくて。現場では、常に刺激をもらっていました。

 アクションは初挑戦でしたが、約1カ月かけてスタントチーム「Gocoo(ゴクゥ)」のみなさんに稽古をつけていただきました。最初は何もできなかったのですが、ようやく形を覚えられたと思ったら、次はアクション部の方の動きとシンクロすることができなくて……。

 それにプロのみなさんは、映像で映えるアクションを繰り広げられるんです。「手も足もそこまで伸びるの!?」と驚いてしまうくらい長い(笑)。そうした「カメラを通したとき、どう見えるのか」を念頭に置いてアクションをつかむのは、簡単ではありませんでした。

(写真/上野裕二)

(写真/上野裕二)

 形は合っているのに、僕のアクションはどこか違う。でも、どうすれば正解に近づけるのかが分からなくて、「自分の何がダメなんだろう」と悩んでいたんです。そんなとき、みなさんが僕の動きを映像で撮ってくださり、僕の一挙手一投足を見てどこがダメなのかを教えてくださいました。そうして、一つ一つのダメなポイントを理解することができたおかげで、どう動けばいいのかが分かるようになってきた。そこからは「レンズの向こう側」を意識して、動くことができたように思います。

 実は、神々廻のとある動きは、僕がチームのみなさんに提案したものなんです。台本にはなかったけれど、段取り前に相談したところ「やっちゃってください!」と。物語のクライマックスの印象的なシーンになっていると思うので、ぜひ探してみてください!

 振り返ると、アクションの撮影は刺激的で、本当に楽しかったです。(高橋)文哉と一緒に「教室へ通いたいね」と話しているくらい。それに、もしアクロバットができるようになったら、ライブ演出でも使えるかもしれないです。いや、僕が突然ステージでバク転を披露したら、FANTARO(ファンタロウ。FANTASTICSのファンの愛称)がビックリするか(笑)。

(写真/上野裕二)

『SAKAMOTO DAYS』

かつて「史上最強」といわれた殺し屋・坂本太郎(目黒蓮)は、恋に落ち殺し屋を引退。しかし、突如彼の首に10億円の懸賞金が懸けられ、世界中から刺客が集結する。4月29日(水・祝)より全国公開/東宝配給。

(ヘアメーク/福田 翠(Luana inc.) スタイリスト/中瀬拓外)

衣装協力/ニット(参考商品)、パンツ7万3700円(共にエムエスジーエム/株式会社アオイ TEL:03-3239-0341)価格は税込み

続き: 完璧を追い求めたビジュアル “レンズの向こう側”に届くものを

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