イスラエルとの契約に対し抗議するためMicrosoft社長のオフィスを現職のMicrosoft社員を含む抗議者が占拠、開放後のオフィスで社長が緊急記者会見
Microsoftでは現地時間の2025年8月26日に、Microsoftがイスラエルの政府および軍と契約していることに対する抗議活動が発生し、本社ビルを一時封鎖する事態となりました。社長室の占拠が解かれた後、Microsoft社長のブラッド・スミス氏が社長室を使った記者会見でコメントしています。
Microsoft President Brad Smith reclaims his office to address infiltration, protests, Israel contracts – GeekWire
https://www.geekwire.com/2025/microsoft-president-brad-smith-reclaims-his-office-to-address-infiltration-protests-and-israeli-contracts/‘A million calls an hour’: Israel relying on Microsoft cloud for expansive surveillance of Palestinians | Israel | The Guardian https://www.theguardian.com/world/2025/aug/06/microsoft-israeli-military-palestinian-phone-calls-cloud
Microsoft locks down a building after protesters get inside president’s office | The Verge
https://www.theverge.com/news/766324/microsoft-building-34-lockdown-protesters-brad-smith-officeMicrosoft’s employee protests have reached a boiling point | The Verge
https://www.theverge.com/notepad-microsoft-newsletter/766683/microsoft-employee-protests-boiling-point-notepad Microsoftは2002年ごろからイスラエルの国防省と「無制限の製品提供契約」を締結しているほか、2021年には国防省とMicrosoftのクラウドおよびAIサービスに関する約200億円規模の契約を結んでいます。これらの契約は商業契約のため、利用条件として人権尊重や不当使用禁止の規約が設けられています。しかし、2025年8月初週にイギリスの大手誌であるThe Guardianなど複数メディアは、イスラエル国防軍の情報機関・8200部隊が、Microsoftのクラウドコンピューティングサービス「Azure」上に、パレスチナ人の通話録音データを大量に保管して監視活動に利用していることを報じました。 The Guardianに情報を提供した情報筋によると、8200部隊はパレスチナの通信インフラを掌握して長年にわたり占拠地における通話を傍受してきましたが、軍のサーバーには全人口の通話を処理するのに十分なストレージスペースや計算能力がなく、そのためにMicrosoftに頼ったとのこと。結果として、より広範な一般市民の会話を傍受して管理することができるようになり、致命的な空爆の準備を容易にし、ガザとヨルダン川西岸での軍事作戦を方向付ける形でAzureが活用されていると情報筋は語っています。
報道を受けてMicrosoftの広報担当者は「Azureがそのような(一般市民の通信を傍受した)データの補完に使用されていることは認識していない」と回答しました。また、Microsoftは2025年8月15日に正式な声明を発表し、「現在までにマイクロソフトのAzureとAIテクノロジーが、ガザ紛争において人々を標的にしたり危害を加えたりするために使用されたという証拠は見つかっていません」と述べています。
Microsoftがイスラエルとクラウド・AIサービス契約を結んだことへの懸念は社内外で批判を生んでおり、2024年にAzureが政治的・軍事的に使用されることに反対する抗議グループ「No Azure for Apartheid(NoAA)」が嘆願書の署名を集める形で結成されました。メンバーには現職および元社員、地域住民らが含まれています。 しかし、NoAAの要求をMicrosoftが一切受け入れなかったことや、The Guardianの報道を受けて、現地時間の2025年8月20にMicrosoft本社の広場をNoAAが占拠し、Microsoftの看板に赤いペンキをかけるなど抗議活動を実施しました。以下は、NoAAのXアカウントが投稿した本社前広場で活動する抗議者たちの様子。
🚨BREAKING: DAY 2 OF ENCAMPMENTS AT MICROSOFT HQ 🚨🚨 ALL OUT TO MICROSOFT HQ 🚨📍15835 NE 36th St, Redmond
Even as Microsoft sends over its own security, police, and even state troopers to destroy the Liberated Zone as they did yesterday, the encampment is NOT GOING ANYWHERE pic.twitter.com/uY1dCnu3Pb
— No Azure for Apartheid (@NoAz4Apartheid) August 20, 2025
結果として、Microsoftの現職ソフトウェアエンジニアを含む18人が逮捕されました。NoAAは「警察とMicrosoftが抗議に対し暴力で報復」と非難しています。
🚨BREAKING: WORKERS AND COMMUNITY RE-ESTABLISH LIBERATED ZONE (ENCAMPMENT) AT MICROSOFT HQ, REDMOND POLICE AND MICROSOFT RETALIATE WITH BRUTALITY AND 18 ARRESTS 🚨 pic.twitter.com/siuEfueLhn
— No Azure for Apartheid (@NoAz4Apartheid) August 21, 2025
さらに、現地時間の2025年8月26日には、抗議者の一団がMicrosoft社長であるスミス氏のオフィスに侵入して座り込み抗議活動を実施しました。抗議者たちがMicrosoftのビルに立ち入り、スミス氏のオフィスに入って抗議活動を行う様子はTwitchでライブ配信されました。 以下はライブ配信された抗議活動中のオフィスの様子で、壁のモニターには「ブラッド・スミス氏を人道に対する罪で人民裁判所に召喚」と書かれています。
スミス氏のオフィスが占拠された翌日、現役Microsoft社員2人を含む抗議者7人が逮捕されました。オフィスが開放されて数時間後、スミス氏がオフィスに記者を集め、緊急記者会見を開きました。スミス氏の記者会見の様子は以下のムービーで見ることができます。
マイクロソフト社長ブラッド・スミス氏、オフィス占拠後に演説 - YouTube
記者会見の中でスミス氏は、「The Guardianは公正な報道をしましたが、報道には一部の真実と一部の虚偽が含まれており、内容の多くは検証が必要です。Azureがパレスチナ人の監視に利用されているという報道を受け、Microsoftは今月初めに詳細な調査を開始しています。Microsoftは、中東において人権原則とサービス契約条件が遵守されることを確約します」と語りました。 抗議活動に参加して逮捕されたMicrosoft社員については、スミス氏は「社員の標準的な行動ではありません。社内処分を与えるかどうかは今後検討します」と記者会見で述べました。その後、Microsoftは公式声明を発表し、「会社方針および行動規範に重大な違反があったため、2名の従業員を解雇しました。これらの事件は、当社が従業員に期待する対応とは相容れないものです。当社は引き続き調査を進めており、これらの件に関して法執行機関に全面的に協力しています」と明らかにしました。
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