関東大震災から102年、各地で式典 朝鮮人虐殺の追悼碑前で騒動も
関東大震災の発生から102年となる1日、犠牲者たちを悼む場所が各地に設けられ、式典が開かれた。当時は地震による被害だけでなく、「朝鮮人が略奪や放火をした」といったデマによって朝鮮人らが殺害される事件が相次いだ。
東京と埼玉の計3カ所で、犠牲者を追悼し、地域の記憶や記録に向き合う人たちの1日を追った。
@東京都立横網町公園(墨田区)
9:00 追悼式典の開始前から献花
朝鮮人犠牲者の追悼式典が始まる前の午前9時ごろには、追悼碑の前に花や酒が供えられていた。
周囲には3メートルほどの白いフェンスが立てられ、警備員が張り付いている。追悼式典の主催者によると、フェンスは例年、「腰ほどの高さだった」というが、今年はより厳重になっていた。
関東大震災から102年が経ち、献花に訪れた人=2025年9月1日午前9時36分、東京都墨田区、友永翔大撮影出勤前に立ち寄ったという会社員の山崎永史さん(38)は追悼碑の前で、1輪の白い花を手向けた。山崎さんは初めて訪れたといい、「なんでこんなに厳重でものものしいのか」と戸惑っていた。小池百合子知事は9年連続で追悼式典への追悼文の送付を見送っているが、「事実としてあったことに対して今の都知事が談話を出さないことに、違和感を持っている」と話した。
10:00 慰霊堂で大法要、約200人が参列
公園内にある都慰霊堂では午前10時から、関東大震災の犠牲者を追悼する大法要があり、秋篠宮ご夫妻や遺族ら約200人が参列した。
東京都の小池百合子知事は朝鮮人犠牲者の追悼式典には追悼文を送らなかったが、この大法要には追悼文を送っており、中村倫治副知事が代読した。そのなかで「震災と、その極度の混乱の中で、犠牲となられた全ての方々のご無念とご遺族の皆様の癒やされることのない悲しみに思いを致すとき、痛惜の念極まるものがある」と言及したうえで、「安心・安全で平和な東京を、持続可能なものとして、次世代に引き継いでいく」と述べた。
「関東大震災並びに都内戦災遭難者秋季慰霊大法要」に出席し、焼香をする秋篠宮さま=2025年9月1日午前10時31分、東京都墨田区の東京都慰霊堂、嶋田達也撮影午前11時から、朝鮮人犠牲者の追悼式典が始まった。主催したのは、「9・1関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典実行委員会」。式には、歌手の加藤登紀子さんや作家の深沢潮さんらが追悼メッセージを寄せた。
深沢さんは「私の祖父は、今から102年前、品川区で関東大震災の混乱の中、危うく自警団に殺されかけました」「虐殺された人びとは、ただの数字や記録ではありません」とし、「労働の後、仲間とどぶろくを酌み交わし、語り合う人びと。洗濯をしながらおしゃべりに花を咲かせる女性たち。川で元気に遊ぶ子供たち。家族が集い、食卓を囲み、笑い合う日常。そうした一瞬一瞬が、奪われてしまったのです」とつづった。
「祖父の思い出から浮かび上がる失われた日常と、虐殺という許されざる行い。その記憶を胸に刻み、鎮魂の祈りを捧げ続けたいと思います。二度とあのような悲劇が繰り返されないために」と結んだ。
全文が読み上げられると、参…
【U30応援割】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら3カ月間月額99円!詳しくはこちら
この記事を書いた人
- 田渕紫織
- 東京社会部
- 専門・関心分野
- 災害復興、子ども
- 杉山あかり
- ネットワーク報道本部
- 専門・関心分野
- 民主主義、ジェンダー、地方自治、防災、医療