CoinDesk JAPAN(コインデスク・ジャパン)
- Ethereum(イーサリアム)ブロックチェーンは激しい競争に直面していると、JPモルガンはレポートに記した。
- 競争圧力のために暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)はパフォーマンスが低迷しており、ビットコイン(BTC)のような説得力あるストーリーが欠けていることもその要因としている。
- イーサリアムの成長は、Solana(ソラナ)のようなライバルに遅れをとっているとレポートは述べている。
イーサリアムはここ数カ月間、他の暗号資産よりもパフォーマンスが低く、これはイーサリアムブロックチェーンが他のチェーンとの激しい競争に直面しているためと米銀大手JPモルガンは2月5日のリサーチレポートに記した。
イーサリアムには、ビットコインのような説得力あるストーリーが欠けていると同行は述べ、ビットコインは価値保存の手段、デジタルゴールドとしての認識から恩恵を受けていると続けた。
Dencun(デンクン)などのアップグレードにもかかわらず、アクティビティはメインネットワークからレイヤー2(L2)に移行しており、成長にマイナスの影響を与えているとレポートは指摘している。最新アップグレードのPectra(ペクトラ)は、4月初旬に実施される見通しだ。
「競争圧力により、一部の分散型アプリ(Dapps)は、優れたパフォーマンスを求めて、イーサリアムから他のアプリケーション特化型チェーンに移行している」(レポート)
その具体的な例として、Uniswap(ユニスワップ)、dYdX、Hyperliquid(ハイパーリキッド)のようなDEX(分散型取引所)があげられている。
ユニスワップが独自のL2チェーンUnichain(ユニチェーン)への移行を予定していることは重要だ。なぜなら、ユニスワップはイーサリアムブロックチェーンにとって「最もガスを消費する(=多くの取引手数料を支払う)プロトコル」の1つであり、その移行はイーサリアムブロックチェーンにきわめて大きな損失をもたらす可能性があると同行は述べている。
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分散型アプリがレイヤー2や他のレイヤー1に移行している傾向は、メインネットワークのアクティビティを低下させ、その結果、取引手数料やバリデーター収益が減少する可能性があるため、イーサリアムブロックチェーンに悪影響を及ぼす可能性があるという。
レイヤー2は、ベースレイヤーであるレイヤー1上に構築された別のブロックチェーンであり、スケーリング(拡張性)とデータに関するボトルネックを軽減する。供給の観点からは、「トランザクションが減少するとトークンのバーン(焼却)も減少する」ため、イーサリアムのインフレにつながる可能性があるとレポートは記している。
また、イーサリアムの成長は、ミームコイン関連のアクティビティが急増したSolana(ソラナ)のようなライバルに遅れをとっているという。
だが同行は、こうした問題があるにもかかわらず、イーサリアムエコシステムは依然としてステーブルコイン、DeFi(分散型金融)、トークン化の領域で圧倒的ポジションを占めていると述べた。
イーサリアムブロックチェーンは、トークン化を推進する企業からの需要の増加が見込めるものの「他のチェーンとの競争は当面の間、激しい状態が続く可能性が高い」とレポートは付け加えた。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部|画像:Shutterstock
|原文:Ethereum Faces ‘Intense’ Competition From Other Networks: JPMorgan