クールビズを阻む空気感とは 短パンとの同居拒否や「スネハラ」被害?
夏の長期化で、暑熱対策と省エネの両立が前倒しで模索されている。象徴的なのが、4月に東京都が発表した「東京クールビズ」だ。男女問わずポロシャツやスニーカーを着用しての業務が明文化され、軽装で働く職員の姿が公開された。しかしその直後から、男性のハーフパンツ=短パン解禁のみに脚光が当たり、ウェブ上では〝おじさんたたき〟につながりかねない記事が頻出、すね毛を見せられる苦痛「スネハラ」なる言葉まで登場した。でも、そこまで見苦しい人って職場にいる? 気を使っている男性の方が多くない? クールビズの進化を阻む見えない空気感とは何か、考えてみたい。
軽装vsマナー 男性キュロット提案も
早くも気温30度超えが観測された5月。某スポーツアパレル本社で、別件の取材に対応してくれた男性社員は、キュロットのようなワイドパンツ姿だった。
「オフィスでのハーフパンツが解禁になりました。これは自社のメンズ商品です。裾から風が入ってくるので涼しい」。足首上の丈だが靴下を履き、素肌は見えない。上品かつスポーティーで好印象である。
改めて同社にクールビズの取材を申し込むと「ぜひ協力したい」との反応だったが後日広報担当から、申し訳なさそうな声で電話がかかってきた。「取材を遠慮したい」。理由を尋ねると、以前ハーフパンツを解禁した際、同じ高層ビルに入居する他の企業から「短パン姿の男性たちが、同じエレベーターに乗ってくる」との苦情が入って止めた経緯があり、この件で目立ちたくないとのこと。
あのメンズキュロット風を紹介したかったのに残念。近いアイテムはないかと探してみたら、あった。
ユニクロ公式サイトのスタイリング写真で、レディース商品のキュロットをメンズモデルが着ていた。幅広いサイズ展開でユニセックス提案をしている同社らしい。実物はサラサラのナイロン生地で汗にもベタつかず涼しい着心地だ。
ユニクロが男性にも着こなしを提案するキュロット。脚を見せなくても涼しい(重松明子撮影)これら短パン類の売れ行きが好調。「暑さの長期化で快適性を重視した商品ニーズが高まっている」(ユニクロPR担当)が、本部社員は「安全面への配慮から、ハーフパンツ着用を控えている」という。事務系でも倉庫や店舗作業に出向く機会があるためだ。これは納得。脚を出して転んだりすればケガもする。誰もが注意したい点である。
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〝震源地〟都庁にも取材をお願いすると、環境局総務部の倉田幸一さん(32)らが対応してくれた。
短パン勤務に気恥ずかしさはありませんか?
「特に感じません」
すねがつるん。若年層でメンズ脱毛が普及し、女性同様にすね毛のない男性が増えた。50代男性管理職は、短パンにスパッツを重ねて肌露出を抑えている。「不快感を与えないように気を付けています。東京クールビズ公開時は短パン姿の男性が座って仕事をしており、写真が実際の丈よりもかなり短く見えて論争につながった面があるかも」
足元からなめるような画角もあった。私も撮影する側なので気持ちはわかるが、被写体が女性ならセクハラ扱いされかねない。
来客対応のない場面に限られる短パン出勤はまだ多くないが、「娘の脱毛器を借してもらう」などと話す男性職員もおり、真夏への準備モードに入っている。
見てほしいのは脚ではなく全体像だ。中東情勢を背景に、TPOに応じた快適に省エネできる服装で「装う環境」をクールに(賢く)推進。倉田さんは「ネクタイ姿の上司がゴルフシャツなどに変わり、話しかけやすくなった。コミュニケーション上の効果もある」。都が示したクールビズの運用基準を「企業導入の参考にしたい」と、歓迎の声も寄せられている。
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「女性は夏場、無理にストッキングを履かなくてもよいのでは」とは、環境相時代の小池百合子都知事の発言だ。当時は生足(なまあし)の方がオシャレでもあり、女性の多くがこれを歓迎した。
とはいえ空気感は時代や個人、属性により変化し、クールビズの最適解は見つけにくい。この夏も、軽装vsマナーの攻防は続く。(重松明子)