所要時間“70分”短縮!?「中部横断道」静岡~山梨全通で「年間370億円」開通効果 “革命的な高速道路”開通3年半で「東海・甲信越の大動脈」に
国土交通省 甲府河川国道事務所は2025年2月19日、静岡~山梨をつなぐ中部横断道の全通効果を発表しました。
新東名と中央道つなぐ「大動脈」全通から3年半
国土交通省 甲府河川国道事務所は2025年2月19日、静岡~山梨をつなぐ中部横断道の全通効果を発表しました。
中部横断道は、トラック輸送や長距離移動、防災機能に乏しかった「静岡~山梨~長野」の南北軸ネットワークを強化する目的で整備中の高規格道路です。
そのうち、まずは静岡~山梨が、2021年8月に悲願の全通。新東名の新清水JCTから北上し、国道52号・JR身延線と並行して、中央道の双葉JCTへ直結する全長約74kmの高速道路網が完成しました。
最後の開通区間は、中央部にあたる南部IC~下部温泉早川ICの13.2kmです。
これにより、新東名・東名の静岡エリアから中央道経由で甲信越エリアへ「信号ゼロ」が実現。下道の信号渋滞や荒天時通行止めなどから開放され、時間の読める移動が可能となりました。
さて今回、静岡~山梨の開通から3年後の効果が発表されました。
それによると、中部横断道が無かった頃とくらべ、全線区間の所要時間は「2時間45分→1時間35分」と、70分もの驚異的な時間短縮が実現したといいます。
いままでブツ切れだったのが、2021年に全通を迎えたことで、利用者は飛躍的に増加。開通3年後には断面交通量は約2倍の「1日あたり1万1500台」に膨れ上がりました。いっぽうで生活交通を受け持つ国道52号現道は交通量が3割減少し、沿線住民の利用が「インバウンド混雑」などの影響から解放されることにもなっています。
全通によって「東海~甲信越」の高速ルートとして決定的な存在感を発揮しはじめ、地域間移動でも中部横断道の利用割合が約4割増加したとしています。
さらに沿線地域でも、高速道路がやってきたことで産業や観光が急激に活性化。産業面では沿線工場への設備投資額が約500億円を突破し、地価が約1割上がったとしています。観光面では、目安として道の駅「富士川」で集客数が約2割増加し50万人越えとなったといいます。また中部横断道を利用することで、緊急搬送の速達化も図られています。
これらをふまえた全体の経済効果は、年間「約367億円」と算出されています。
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中部横断道はこの先、中央道の長坂JCT(仮)から北へ分岐し、JR小海線とともに野辺山高原を抜けて、長野県佐久穂町の八千穂高原ICへつなぐ部分が事業化準備中です。八千穂高原~上信越道(佐久小諸JCT)がすでに開通済みです。
こちらは事業化に必要な環境アセスメントと都市計画決定の手続きが進んでいる状況です。