記入済み投票用紙、SNSへの投稿はNG? 当日は違法の恐れ
参院選は20日、投票日を迎えた。
19日までの期日前投票では、投票に行った証拠として政党名や候補者名を記入した投票用紙を撮影し、写真を交流サイト(SNS)にアップする動きが目立っている。
しかし、投票日当日にこれをするのはNGだ。
「ケースによっては罪に問われる可能性がある」と総務省も注意を促している。
公職選挙法では、選挙運動が許されるのは投票日の前日までで、投票日は禁止される。
SNS上であっても投票日に特定候補への投票を呼びかけることはできない。
このため、自らが投票した政党名や候補者名を書いた投票用紙の写真を投稿することは、特定の政党・候補への投票を促す選挙運動とみなされる可能性がある。
Advertisementその場合、公選法違反として1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される。
「秘密投票」の原則
実は、記入済み投票用紙をSNSにアップすることは大事な問題もはらむ。
第三者が有権者に特定候補への投票を指示し、その証拠としてSNSに投票用紙のアップを強要することが起こりかねないからだ。
日本では選挙において、有権者がどの候補に投票したかを他に知られないようにする「秘密投票」が原則になっている。
このルールにのっとり、投票は無記名方式で行われ、投票用紙に自分の名前など候補者名以外のことを書くと無効票として扱われる。
誰がどの候補に投票しているかが明らかになる制度だと、脅迫や買収といった不法な圧力が有権者にかけられかねない。
こうした選挙をゆがめるものから有権者を守るため、秘密投票は憲法15条4項で保障されている。
有権者が自由に投票する権利がないがしろにされないようにしたい。
他人のプライバシーにも影響
いくつかの自治体の選挙管理委員会では、期日前投票も含めて投票所内の撮影を禁止しているところもある。
撮影者以外の有権者が写り込み、その人の投票の秘密やプライバシーを侵す恐れがある行為だからだ。
SNS全盛時代でも、節度を持った投票行動を――。国や自治体はそう呼びかけている。【木村敦彦】