ウクライナ軍「無人部隊」がロシア軍を駆逐の衝撃…“民間用ドローン”と“無人地上車両”で戦果を挙げ続ける理由 日本企業出資の「迎撃ドローン」にも注目

 徐々に体勢を立て直したウクライナ軍はロシア軍を押し戻し、NATO(北大西洋条約機構)諸国の援助を受けて2023年6月から本格的な反攻作戦を実施した。だが待ち構えていたロシア軍の防御陣地は堅牢で、壊滅状態に陥った部隊も少なくなかった。  今年2月、日本の大手メディアは「ウクライナ軍事侵攻から4年」の記事を相次いで報じた。この時、ウクライナの東部・ドネツク州の要衝であるポクロウシクをロシア軍が掌握したという情報が流れていた。  首都キーウからポクロウシクは直線距離で約700キロ。東京から広島までの距離と同じくらいだ。ウクライナ軍も必死の反撃を続けており、ロシア軍も苦戦していた。しかしながら、わずかな面積であったとしても、ロシア軍は着実に占領地域を増やしているという分析が多かった。  ところが最近、急に「ウクライナ軍がロシア軍を駆逐している」との報道が増えているのをご存知だろうか。例えばブルームバーグ(日本語・電子版)は5月22日、「ロシア侵攻は失速、攻勢不発で前線安定-ウクライナと支援国が自信」との記事を配信した。  フィンランドのアレクサンデル・ストゥブ大統領は4月、「戦場では兵士の死傷者比率が変化しており、ウクライナ軍が兵1人の損害を出すと、ロシア軍は兵5人の損害を出している」と発言した。

 ストゥブ大統領は続けて「ウクライナ軍の猛攻で、ロシア軍は補充が追いつかないほど戦力を消耗している」とも指摘した。  他にもNATOのマルク・ルッテ事務局長は「ウクライナは強固な防御を築いている」と評価。ロシア軍が新たに占領した地域が存在するのは事実だが、ウクライナがロシアから奪回している領土のほうが面積で上回っていることを明らかにした。  なぜウクライナ軍がロシア軍に勝利するようになったのか、なぜ戦局が急に変化したのか、その謎を解くのがドローンと“ロボット兵器”だ。  CNNは4月22日、「『ロボットは血を流さない』 ウクライナ軍、歩兵の代わりに無人兵器を投入 戦場で優位に」との記事を配信した。軍事ジャーナリストが言う。 「ウクライナ軍は空を飛ぶドローンと地上を走行するロボット兵器で無人部隊を創設し、この無人部隊がロシア軍を駆逐しているのです。ゼレンスキー大統領は4月、ドローンなどの無人攻撃機と無人地上車両(UGV)だけの部隊が初めてロシア軍から陣地を奪回したと発表しました。ロシアの人口は約1億4000万人、ウクライナの人口は約4000万人。小国のウクライナは戦闘による人的被害を最小限に抑える必要があります。そのため軍隊の無人化について研究を重ねてきました」


Page 2

 しかも今、ウクライナ軍が最前線に投入しているドローンや“ロボット兵器”は、ほぼ全てが国内で開発・製造されている。それも設立間もないスタートアップ企業が中核を担っているという。  ちなみにウクライナ軍の無人化では、日本企業も協力を行っている。東京都渋谷区の「テラドローン」はウクライナの企業と迎撃用ドローン「テラA1(Terra A1)」を開発。このテラA1がロシア軍の無人攻撃機を多数迎撃しており、ロシア外務省は「ロシアの安全保障を損なう敵対的行為」とテラドローンを強く非難している。 「ウクライナ戦争では開戦当初、トルコのドローン『バイラクタル』が活躍し、“ウクライナの救世主”として注目が集まりました。しかしバイラクタルは『ドローン』と呼ばれていますが、全長は6・5メートル、翼幅は12メートルもあります。トルコの軍需産業を支える大手のバイカル社が製造しており、まさに“重厚長大”な兵器なのです。一方、ウクライナ軍のドローンは民生品が多く、攻撃には民生品改良型や3Dプリンターなどを駆使した小型ドローンを使っています。新しく開発したロボット兵器も基本は民生用の技術で作られています。中でも無人地上車両は小型で、ぱっと見は大型のラジコン戦車のようです。しかし“軽薄短小”だからこそ戦時下でも量産が可能です。おまけに適切な訓練を実施し技量を身につければ、安全な場所から任務を実行できますし、利便性や汎用性も高いという極めて優れた兵器なのです」(同・軍事ジャーナリスト)

 軍事ジャーナリストは「世界で最も強い軍隊であると自認しているアメリカ軍でさえ、ドローンによる本格的な攻撃訓練を開始し、装備を整えはじめたばかりです」と言う。  これほどドローンや“ロボット兵器”をフル活用し、省人化を推し進めた軍隊はウクライナ軍だけなのだ。つまりウクライナ軍が持つ『無人部隊』のノウハウは世界トップと言っても過言ではない。  第2回【ロシア兵が“ロボット兵器”に降伏する姿も…AIが支えるウクライナ軍の逆襲 「ドローンの映像から司令部を割り出し、逃げ惑う兵士を確実に仕留める」】では、ウクライナ軍がAIに作戦を立案させ、“ロボット兵器”がロシア兵に精神的ダメージを与えている最前線の状況を詳しくレポートする──。 デイリー新潮編集部

新潮社

デイリー新潮
*******
****************************************************************************
*******
****************************************************************************

関連記事: