少年野球指導者の無知?お役所仕事?|広尾晃「野球のことを中心に、そのほかの話題も」
「除去勧告」「命令」
そもそもこれらの施設の原型となる「本部棟」や「倉庫」は、20年以上前に建てられていたが、札幌市側がそれを把握していなかった。今回、ダッグアウトが新設されたことで、札幌市側が気が付いて、一帯の施設9件について「除去勧告」を出した。従わなければ「命令」をするという。野球場に、本部棟やダッグアウト、トイレがついていれば、試合や練習をするうえで便利なのは言うまでもない。また、その施設があることで選手や指導者、保護者などが危険な目に遭うこともほとんど考えられないだろう。普通で考えれば、そのまま使えばいいところだが、市としてはそれが建築基準法に基づく申請を行っていない「違法建築」だとして、今になって撤去を求めたわけだ。
重層的な「違法状態」
この球場の「違法建築」は20年以上前に遡る。この時期に市に無断で連盟側が本部棟や倉庫を建てたのだ。そして2024年になって日本ハムが補助金200万円を出して、一、三塁側に広さ約16平方メートルのダッグアウトを新設し、水洗トイレも設置した。昔の少年野球指導者というのは、野球の指導はできても、それ以外の知識に乏しい「そこらのおっさん」風情もたくさんいた。「俺らが金を出して施設をよくしてやってるんだから、文句を言われる筋合いはない」みたいな理屈で、本部棟や倉庫を建てたのだろう。2024年にダッグアウトやトイレを新設した際には、担当者は以前からある建物が「違法」とは思わなかったのだろう。また補助金を出した日本ハムにもその認識はなかったはずだ。よく市が管理する河川敷などに勝手に畑を開墾したり、農業の作業小屋を建てたりする連中がいる。また、昔は、河川敷や橋の下などに小屋を建てて住む人もたいたが、そうした「違法建築」は、河川が氾濫した時に、被害を拡大させる恐れがあるとして、自治体は撤去してきた。そのこと自体は筋が通っている。被差別部落を解消させる取り組みとしても、有効ではあっただろう。しかし、今回は「野球場に必要」あるいは「あった方がいいに決まっている」施設である。これを「違法」だから撤去というのはどうかと思う。そもそも「違法状態」を看過したまま球場を使用させ続けた札幌市側にも責任はあるだろう。「違法」が見つかったからと言って撤去させるのはいわゆる「お役所仕事」ではないのか?
球場施設を劣化させるのはあり?
少年野球連盟は、施設を撤去したうえで「テントを立てたり、簡易トイレをリースしたりすることを検討する」とのことだが、球場の利便性を損なう上に、急な降雨、落雷、酷暑などから、子供たちが退避する場所をなくしてしまうという意味では、マイナスでしかない。助成金200万円を出した日本ハムは「正規の申請がなされていなかったことは残念で、関係各所と連携して丁寧に対応する」とのことだが、日本ハム側が間に立って、現状の施設の「安全確認」をしたうえで継続的に使用できるように、市側に掛け合うことはできないのか?
日本ハムが一肌脱ぐべき
報道によれば、他の市が所有する野球場でもこうした違法建築が見つかっていて、市側は6月にも概況を取りまとめるということだ。北海道日本ハムファイターズは、北海道をフランチャイズとして、エリアの野球普及に取り組んでいる。昔は道内各所で公式戦を行ってきたが、エスコンフィールドができてからはここでしか試合をしていない。北海道の野球振興を考えるのなら、札幌市側と連携して、こうした「勝手に施設を建てた」野球場の違法状態を是正して、子供がしっかり野球ができる施設にするために、一肌脱いではいかがだろう。随分儲かっているんだし、それくらいしてもいいと思うが。