米イラン、段階的停戦案を模索 ホルムズ海峡開放と封鎖解除が軸=関係筋
Samia Nakhoul Parisa Hafezi John Irish [24日 ロイター] - 米国とイランがニューヨークで続けている協議で、イランがホルムズ海峡を開放し、米国が対イラン経済封鎖を解除するという、段階的な戦闘終結への道筋が模索されていることが複数の関係筋の話で分かった。 原油輸送の要衝であるホルムズ海峡は、開始から約7カ月が経過した米イラン紛争の終結に向けた交渉の中心的な争点になっている。 イラン関係筋2人、中東地域の当局者2人、西側外交筋2人がロイターに明らかにしたところによると、イランも米国も交渉上の切り札を先に手放すことを望んでいないため、協議は大きな障害に直面している。ただ、イランは対立の長期化がもたらす経済的代償も認識しているという。 イラン高官は、行き詰まりを打開する最も現実的な方法は段階的な取り決めになると指摘。イランがホルムズ海峡での航行を認める見返りとして、米国が経済封鎖を解除し、イランが凍結資産へのアクセスを回復する可能性もあるという。この高官は国連総会の会場で「危機を段階的に解決することが前進への道になり得る。まず封鎖を終わらせ、ホルムズ海峡を開放することだ」と述べた。 こうした案を実現させるには、7月に崩壊した従来の合意に続く新たな暫定的な取り決めをトランプ米大統領が受け入れる必要がある。 トランプ大統領は、11月3日の中間選挙後に米国とイランが合意に達する可能性があるとの見方を示しているが、欧州の高官はイランには「非常に長い要求リスト」があると指摘した。 米ホワイトハウス当局者は「イランは合意を切望しているが、トランプ大統領が主導権を握っており、米国にとって最善の決定を下す」とした上で、トランプ氏は「適切な条件の下」でイランとの対話には前向きだが、交渉を急ぐ必要はないとの考えを示していると語った。また、米国はホルムズ海峡を掌握しており、イラン経済が「崩壊しつつある」ことから「非常に強い立場」にあると強調し、トランプ氏はイランに「翻弄される」よりも、「不可避のイラン崩壊」が進むに任せることに満足していると語った。 米国の元イラン交渉担当者デニス・ロス氏は、中間選挙前に合意が成立する可能性は30%にとどまるとの見方を示した。ただ、双方とも選挙後よりも選挙前に合意する強い理由があるかもしれないとも指摘し、「イランを真に締め付けているのは封鎖だ。息の根を止めつつある」と述べた。 イラン高官は、外交による打開策を模索する一方で、イランは米国との戦闘再開の可能性にも備えていると述べ、米国が経済封鎖と武力の脅しを威圧の手段として用いていると非難。「われわれの指は引き金にかかっている。米国は何をすべきか分かっているが、彼らの過大な要求のせいで、外交でこの問題を解決できる可能性は極めて低い」と語った。 中東地域の関係筋によると、封鎖の終結がより喫緊の優先課題になる中、イランはホルムズ海峡の通航料徴収の要求を主要な合意文書から外し、代わりに付属文書に盛り込むことに前向きになっている。ただ、いかなる取り決めも一時的なものにとどまり、イランの要求を正式に放棄するものではないという。 「イランが主に重視しているのはホルムズ海峡での通航料の徴収ではなく、この水路に対する行政的な管理権の維持だ。イランは通航料の問題を先送りする用意はあるかもしれないが、海峡の行政的管理権を手放すことはないだろう」と述べた。 <終わりなき紛争への懸念> 湾岸諸国の首脳はニューヨークでトランプ氏と会談した際、イランが交渉復帰を拒否した場合に米国が軍事行動を再開するかどうかを含め、中間選挙後の米国の最終目標について説明を求めた。 中東関係筋によると、首脳らはイランによるホルムズ海峡の支配をいかなる形でも認めないという共通の立場を伝え、航行の自由が回復されるべきであり、この戦略的水路が湾岸諸国への威圧の手段になってはならないと訴えた。一方で、米・イラン間のさらなる紛争に関与しないという地域の決意を反映し、緊張緩和と政治プロセスも強く求めたという。 アブダビを拠点とするシンクタンク、エミレーツ政策センターのエブテサム・アルケトビ所長は「トランプ氏の最終目標が何なのか、圧力路線に代わる選択肢が何なのか、依然として不明だ」と指摘。「対照的にイラン側は自らが何を望んでいるかを分かっている。彼らは明確な目的を持ってホルムズ海峡とバベルマンデブ海峡を通じて地域情勢を作り替えようとしているが、米政府はまだ道筋を定めていない」と述べた。 協議に詳しい西側当局者は「全てはホルムズ海峡の開放に尽きる。われわれは皆、国内で圧力にさらされており、イランもそれを分かっている」と語った。