電気と水をドカ食いする「データセンター問題」。結局どうすればいいのか専門家3人に聞いてみた(ギズモード・ジャパン)
AIデータセンター建設反対で、今、急激に増えているデモ活動。とくにアメリカでは活発で、42州で150件近いデモ活動が起きています。 AIデータセンター誘致を反対する地域の人々がもっとも心配するのは環境、とくに水資源への影響です。 すでにデータセンターがある地域からはその悪影響に抗議する声があがっており、ジョージア州フェイエットビルでは、QTSのデータセンターが、こっそり3000万ガロン(1億1300万リットル)もの水を使用量を払うことなく使っていることが判明(しかし、QTS側はこれを否定)。 オレゴン州の街ザ・ダルズでは、Googleのデータセンターの水使用量が、2025年の街全体の使用量の40%近くを占めていることが発覚。量にてして5億5000万ガロン(約21億リットル)! 一方で、テック企業側は水使用量急増について、データセンターの水使用効率化をアピールし、水資源使用はAIデータセンターに限った話ではないと、世間のバッシングを抑えようと努力しています。 実際のところ、AIデータセンターはその地域の水資源にどれほど影響するのでしょう。デモ活動が活発なアメリカで、米Gizmodo編集部が専門家に訊いてきました。
カリフォルニア大学リバーサイド校 電気工学教授。主要研究は、AIとシステムと社会。 データセンター電力効率化において、水は大きな役割を担っています。多くの施設で使用される冷却システムは、気化冷却(蒸発冷却)。とくに、1年の中で暑い時期はこれらのシステムが使われます。これらのシステムには水が不可欠な一方、暑い環境下で空冷システムのためのエアコンを回す電力と比較すると、電力消費量はかなり抑えることができます。 つまり、水と電力のトレードオフが発生するということです。暑い時期は、家庭や企業の電力使用量が増え負荷が高まります。ゆえに、水を使った冷却システムでデータセンターの電力負荷を抑えることになるでしょう。また、発電に大量の水を使用する地域では、電力使用量を抑えることで、間接的に水の使用量も抑えられる側面もあります。ただし、総合的な効果は、地域の電力と水力、冷却システム、気候、水資源状況などが複雑に絡んできます。 一方で、地域の水資源への影響が莫大なものとなる可能性も大いにあります。データセンターは、水使用においてかなりの大規模消費者となります。データセンターの水要求がもっとも高まる時期は、ほかの消費者の水需要も高まる暑い日、暑い時間帯であることが多いです。ゆえに、1年間の使用量という点だけでは、地域の影響全体を見通すことはできません。1年間の水使用量は多くなくても、もっとも使用量が多い時期だけ見るとインフラ負荷が高かったり、地元の水資源のキャパを超えてしまったりという可能性があるからです。 場所と水資源状況によって、課題も変わってくるでしょう。再利用水や非飲用水を使う施設と飲用水を使用する施設では、水資源が制限される干ばつ時期の地域への影響もまた異なります。 課題解決には、慎重な計画と運用が必要です。非飲用水・飲用水を使い分ける選択肢、施設内の貯蔵、水と電力の優先度切り替え、地域負荷が高い場合の柔軟な対応、地域の電力会社、水道会社との連携などなど…。 また、データセンターでの水使用量削減だけを必ずしも目標とすべきではありません。水使用量も含め、地域全体への影響、水使用の計画性とその透明性、電力とのバランス、高負荷時の対応、環境への影響、地域の要望など、そのすべてを包括的に検討しなければいけません。