ロシア、550のドローンとミサイルでキーウなど攻撃-米露会談直後に

ロシアはウクライナに対して過去最大の空襲を仕掛けた。3日にトランプ米大統領は戦争終結を目指しロシアのプーチン大統領と電話会談を行ったが、結果に失望感を表明していた。

  ウクライナ防空部隊によると、ロシアは合わせて550のドローンとミサイルを発射。大半は首都キーウに向けられ、攻撃は11時間余り続いた。このうち478の迎撃に成功したという。

  キーウの軍事行政責任者、ティムール・トカチェンコ氏は通信アプリ「テレグラム」で、市内各地で爆発音が響き、5地区で着弾が確認され、住宅家屋にも被害が出たと明らかにした。攻撃による死傷者の数は23人に増えたと、キーウのクリチコ市長がテレグラムで報告した。

  この攻撃は、トランプ氏がプーチン氏との電話会談に「深く失望した」と記者団に述べる中で行われた。会談でプーチン氏は、戦争目標を「撤回することはない」と主張したと、同国大統領府のウシャコフ大統領補佐官(外交政策担当)は説明していた。

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ロシアの空襲による被害を検証する住民ら(4日、キーウ)

  トランプ氏は「(プーチン氏が)停戦を目指しているとは思わない。極めて遺憾だ」と述べた。トランプ氏は4日朝にウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行ったと、アクシオスの記者が事情に詳しい関係者の話としてX(旧ツイッター)に投稿。投稿で引用された関係者によると、両者は「良い話」ができたという。

  ゼレンスキー氏はこれより先の4日、ロシアの攻撃が始まったのは「トランプ氏とプーチン氏の電話会談が報じられたのとほぼ同時」で、「重大であざけるような攻撃」だと語った。

  同氏は支援国に対し、防空システムの供給維持と対ロシア制裁の強化を呼び掛けた。ドイツ政府はウクライナ向けの地対空ミサイルシステム「パトリオット」を確保するため、「集中協議」に入っていると発表した。

  ゼレンスキー氏は「本当に大規模な圧力がなければ、ロシアがこの愚かで破壊的な行動を変えることはない」と、テレグラムに投稿した。

化学兵器使用

  一方で、ロシア軍はわずかな前進しかできていない上、それに伴う人的損失はますます深刻化している。侵攻開始以降、ロシア軍の死傷者数は、先月ついに100万人を超えたと推定されている。

  オランダの情報機関によれば、ロシアはウクライナでの戦場で化学兵器の使用も強めている。使用されているのは高濃度で使われれば致死性もあるクロロピクリンという化学物質で、その使用は化学兵器禁止条約に違反する。ロシア大統領府のペスコフ報道官はコメントの要請にすぐには応じなかった。

  ウクライナ環境省は、攻撃による煙で空気汚染が危険な水準にあるとして、キーウ市民に屋内にとどまるよう呼びかけた。

原題:Russia Launches Air Attack on Kyiv After Putin-Trump Call (2)、Trump Spoke to Zelenskiy This Morning, Axios Reports(抜粋)

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