【日本市況】株反発、中東停戦に期待-円高、20年入札後に債券一段安
24日の日本市場では株式が大幅反発。トランプ米大統領がイスラエルとイランの暫定的な停戦を発表し、投資家のリスクセンチメントが改善した。海外原油先物相場が急落したことで、インフレへの懸念も後退している。
有事のドル買いの巻き戻しから円は1ドル=145円台前半に上昇。一方、債券はリスク選好的な流れの中、20年債入札の結果を受けて午後に一段安となっている。
トランプ大統領は23日、イスラエルとイランの停戦は「完全かつ全面的」だと自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で発表した。これに先立ち、イランが実施したカタールの米空軍基地への報復攻撃は抑制的なものにとどまり、市場では中東情勢のさらなる激化への懸念が和らいでいた。
関連記事:イスラエルとイラン、停戦に近づく様子-トランプ氏が合意成立を主張
トランプ氏の停戦発表を受け、原油先物相場はアジア時間に下げ幅を拡大し、北海ブレント原油はイスラエルがイランを攻撃した前日となる12日の水準を一時下回った。安全資産への需要後退から金相場も下落する一方、米株価指数先物やアジア株は上昇。外国為替市場ではドルが主要通貨に対して売られている。
国内株式・為替・債券相場の動き-午後0時58分現在- 東証株価指数(TOPIX)は前日比0.8%高の2783.27
- 日経平均株価は1.1%高の3万8772円82銭
- 円は対ドルでニューヨーク終値比0.5%高の145円38銭
- 長期国債先物9月物は一時前日比31銭安の138円99銭
- 新発10年債利回りは一時3ベーシスポイント(bp)高い1.435%
- 新発20年債利回りは2bp高い2.36%
株式
東京株式相場は大幅反発し、日経平均株価の上げ幅は一時600円を超えた。
電機や精密機器など輸出関連、非鉄金属やゴム製品を含む素材株が高い。米金融株高も追い風に銀行や証券、保険も上げ、内外需とも幅広く買われている。半面、原油安から鉱業や石油・石炭製品は下落し、海運株も安い。
為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=145円台前半に上昇。前日の海外市場で一時1カ月超ぶりとなる148円台に下落した後、中東情勢の緊張緩和への期待や米金融当局者の利下げ発言を背景にドル売り・円買いの流れに転じている。
みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは、有事のドル買いが徐々に巻き戻されていることに加え、米連邦準備制度理事会(FRB)高官から7月の利下げを意識させる発言が相次ぎ、「円ロングが選好されやすい」と語る。
関連記事:ボウマンFRB副議長、資本規制見直す時来た-7月利下げ支持も (1)
パウエルFRB議長はこの日、下院金融委員会の公聴会で半期に一度の金融政策報告書について証言する。苅谷氏は「従来のように様子見姿勢を続ければ、小幅のドル買いが入る一方で、早期利下げに前向きな姿勢を示せばもう一段のドル売り・円買いが進む」と予想している。
債券
債券相場は下落。停戦発表を受けたリスク選好の動きから売りが先行し、20年債入札の結果発表後には下げ幅を拡大している。
入札結果によると、投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.11倍と、過去1年平均(3.31倍)を下回った。一方、大きいと不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は28銭と、前回の1円14銭から大きく縮小した。
関連記事:20年利付国債入札の応札倍率は3.11倍、過去12カ月平均を下回る
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは、20年債入札は最低落札価格が予想を下回ったものの応札倍率は悪くなく、「やや弱めから無難な結果だった」と指摘。「前回ほど悪くなかったが、まだ安心して買っていける状況ではない」と述べた。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。