「部下ガチャ」と言われぬように… ある若者の葛藤
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10月に始めた連載「YOUTH FINANCE」は2カ月弱で11本の記事を電子版で公開しました。少なくとも週に1本は配信し、定期的に読んでもらいたいという当初の目標を上回るペースで、取材も編集もやや自転車操業の状態でした。
少しずつですが、定着の兆しも出てきたので7回目以降は違ったことにも挑戦しました。1回目から6回目は電子版でも、日本経済新聞の金融面でも掲載してきましたが、7、8回目はあえて電子版だけにしました。
新聞でそのまま載せるにはややライトな「仮想通貨Bar」にルポ取材したり、複数の経営者から体験談を聞いたりし、それらをありのままに伝えたいと考えたためです。
YOUTH FINANCEは「日経電子版 金融」アカウントのX(旧ツイッター)でも発信しています。「こんな記事なら読んでみようかな」と若い人に思ってもらえるインタラクティブな連載にしていければと考えています。
(金融グループ次長 飯山順)
仮想通貨の存在はスタンダップコメディー(欧米式の漫談)から知りました。「『最近またビットコインなんて買っていないよね』と彼氏に聞いたら、彼は電気柵に触ったような反応になる」とコメディアンが話すと、会場が笑いに包まれました。
価値を問われてきた仮想通貨ですが、最近では代表的なビットコインが連日最高値を更新する出来事もありました。自分の周りに「仮想通貨の取引でお小遣いを稼いでいる」という知り合いもおり、人々の生活への定着を感じる場面も増えています。
「仮想通貨の世界にハマっている人たちは、どういうところに魅力を感じているのだろうか」——。この疑問をもって仮想通貨バーに入りました。取材に応じてくれた方々からは「価値とは何か」を考えながら、新しい世界をつくり上げる楽しさと、責任のようなものを感じました。
決済の新しい可能性をみせる仮想通貨ですが、既存の世界とどのようにかみ合っていくのでしょうか。引き続き注目していきたいです。
(王楽君)
運用のプロとして金融機関を率いるリーダーたちに、働く若い人におすすめの1冊や若手時代のエピソードを聞きました。いずれも私自身が日々の金融機関取材でお会いする方々にぜひ聞いてみたいと思い続けてきたトピックでした。
ご紹介した3人のトップの方にも三者三様の悩みや葛藤、挫折などがありました。今回の取材を通じ、どんな人にでも仕事で失敗する経験や自分の働き方を見つめ直す時があるのだと改めて実感したところです。
学生の方にも進路の選択や資産形成などで参考になる内容を意識しました。普段は金融ビジネスの記事を書くことが多いですが、自分たちと同世代の読者の方にとっても毎日の仕事の役に立ったり、前向きに働けたりするような発信を少しでもできればと思っています。
(秋田咲)
金融機関の融資慣行は転換点を迎えつつあります。6月に成立した「事業性融資推進法」はその象徴です。企業の技術力や成長性など事業価値を担保にして融資できるようにするもので、不動産など担保となる資産が少ないスタートアップが融資を受けやすくなる可能性があります。
資金調達の裾野が広がりをみせる半面、起業意識の底上げは道半ばです。グローバル・アントレプレナーシップ・モニター(GEM)の調査によると、「起業を望ましい職業選択と考える人」の割合は日本が25%と、中国の79%、米国の68%などと比べて大きく見劣りしています。
起業意識が低い現状について、日本政策金融公庫でスタートアップ支援を手掛ける担当者は「起業教育の裾野を広げることが重要だ」と話していました。起業家支援のネットワークをいかに広げていけるかが今後の日本のスタートアップ業界の成長を左右しそうです。
(北島空)
「○○ガチャ」という言葉を最近よく聞くようになりました。この言葉の裏にあるのは若者らの「不安」です。自分の目に見えないところで自分のキャリアを勝手に決められてしまうことに不安や違和感を覚える若者は多いようです。
リクルート就職みらい研究所の栗田貴祥所長が指摘するように「対等な立場でコミュニケーションできる場」が重要だと感じます。学生側も、就活時からOB訪問などを通じて企業と積極的にコミュニケーションをとってミスマッチを防ぐといった工夫が求められます。
何でも「○○ガチャ」という言葉で片付けていても状況は良くならないのだと思います。私たちのような若手社員も上司から「部下ガチャ」と言われてしまうことがないように、自らの振る舞いを顧みつつ、上司としっかりコミュニケーションを取ることが必要だと感じます。
(三原昂大)
ロンドンへの渡航時、一つだけ準備し忘れたのが現金のポンドでした。渡英から約3カ月たちますが、結局キャッシュをおろしに行ったことは一度もありません。大陸欧州のように公衆トイレに小銭が必要になることもないので、現金を使う場面がないのです。
一般社団法人キャッシュレス推進協議会によると、英国のキャッシュレス比率は65%。親交のある20〜30代の友人に限ると、体感ではキャッシュレス比率はほぼ100%に近い印象です。記事で紹介したレボリュートなどの台頭が背景にあると言って間違いないでしょう。
チャレンジャーバンクの登場で、銀行口座を持たない人でも金融サービスを享受できるようになりました。一義的には金融包摂が進んだということですが、金融サービスから取り残された人もいるのではないかとも感じます。カフェやパブでは現金お断りのお店も多く、キャッシュレスに不慣れな人にとっては生活しにくい場面が多々あります。
チャレンジャーバンクのサービスは、スマホやデジタルツールを使いこなせることが前提条件になります。金融包摂の輪からあぶれてしまう人をどうケアするか。ここはフィンテックのサービスが行き届いていない空白地帯とも言えます。こうした盲点を潰していくことが、デジタル時代の金融機関が果たすべき役割の一つではないでしょうか。
(日高大)
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