伊藤忠・電通Gが小売り広告連合 ファミマ1.2万店の顧客接点データ活用

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伊藤忠商事電通グループは31日、リテールメディア(小売り広告)で提携すると発表した。人工知能(AI)普及で広告効果の測定が難しくなっている。伊藤忠が持つ購買データと電通Gの広告ノウハウを掛け合わせて効果的な広告づくりを目指す。

伊藤忠は同日、電通総研へのTOB(株式公開買い付け)の実施を発表した。子会社を通じ電通総研株38.2%を取得する。買い付け総額は最大約2151億円。61.8%の出資比率を維持する親会社の電通Gと電通総研株を非公開化する。

伊藤忠の電通総研への出資をきっかけとして、電通は伊藤忠が出資する広告配信会社データ・ワン(東京・千代田)、デジタルサイネージ(電子掲示板)事業を展開するゲート・ワン(同・港)の両社と小売り広告で提携した。

足元では消費者がAIにおすすめの商品を聞くなどして、購入する商品の選択肢を集める傾向が強まっている。従来のテレビやインターネット広告の影響をどれほど受けたかの分析が難しくなっている。

コンビニやスーパーといったリアル店舗での購入直前の顧客接点や、購入者の属性や実際の購入商品などの消費者の行動データは価値を増している。

東京都内で記者会見した伊藤忠の細見研介常務執行役員は「国内のリテールメディアは発展途上にある。今回の提携を成長の一つの契機として新たなサービスと事業機会を増やしたい」と話した。

電通Gの綿引義昌副社長は「リテールメディアは大きな成長領域。提携で高度化させ、市場全体を拡大させていきたい」と話した。

データ・ワンはファミリーマートやスーパーなど7社の小売企業から集めた約6000万IDの購買データを抱える。ゲート・ワンはファミマ約1万2000店に設置した電子掲示板を活用し、広告に合わせて対象商品を目立たせる売り場づくりなどができる。

一方の電通は生活者への大規模調査を基にした消費者の行動や価値観、生活習慣などのビッグデータを保有する。長年の広告事業を通じて多様な広告主との接点を持つのも強みだ。

伊藤忠グループが持つ購買データと電通のノウハウを掛け合わせればより精緻な広告効果の分析ができるようになる。さらに広告の配信先としてファミマの電子掲示板が加わり、広告主への提案の幅が広がる。

両社ともこれまでも購買データの分析や広告の効果測定に注力してきた。

伊藤忠は8月に日本テレビ放送網と組んで、テレビの視聴データと購買データを結びつけ、広告視聴が購買に与えた影響を分析する取り組みを始めた。

電通では26年、小売り広告の開発や活用を進める専門組織を立ち上げた。9月からはセブン―イレブン・ジャパン、サイバーエージェントと設立したリテールメディア事業の新会社も始動する。

電通Gの調査では世界の広告市場は25年に初めて1兆ドル(約159兆円)の大台を超えた。26年は市場全体で前年比5.0%増の成長を見込むが、リテールメディアは12.3%増と特に伸びるとみている。

電通Gにとって電通総研はデジタル分野での成長の中核的存在にとどまらず、今回の伊藤忠グループとの提携によって、成長機会拡大を呼び込んだ形だ。

電通総研は伊藤忠子会社でシステムインテグレーター(SIer)の伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と組み、IT(情報技術)サービスの成長を目指す。

電通Gは前期、過去最大の連結最終赤字に陥り、海外事業立て直しを急ぐ。再成長に向けた資金を流出させることなく親子上場を解消し、伊藤忠と広告事業やITサービス事業の競争力を高める。主力事業の収益拡大につなげ、グループ経営の再建につなげる。

(松井亮佑、佐藤優衣)

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