FRBの次の一手は利上げか、追加利下げ観測に逆行する見方浮上
米連邦準備制度理事会(FRB)の次の一手は、可能性が極めて低いものの、利下げではなく利上げだとする見方が筋金入りの債券トレーダーの間で浮上している。
1月10日発表の米雇用統計が堅調だったことを受けて浮上したこうした見方は、少なくとも年内1回の利下げを見込むウォール街のコンセンサスとは全く対照的だ。15日に発表された米消費者物価指数(CPI)が穏やかな内容だったことで当局の利下げスタンスは強化され、米国債利回りが数年来の高水準から後退したにもかかわらず、市場に逆行する見方は依然として健在だ。
17日の取引終了時時点でのブルームバーグ・インテリジェンスによる分析によれば、担保付翌日物調達金利(SOFR)に連動するオプション市場では、米当局の年内の次の動きが利上げとなる可能性は約25%織り込まれている。CPI発表前には30%に上っていた。1週間以上前までは、利上げは全く考えられておらず、オプショントレーダーの60%は追加利下げを、40%は利下げ停止を予想していた。
最近の金融市場動向の多くと同様、トランプ次期大統領の政策に対する賭けを事実上反映した動きと言える。新政権が発動する関税など政策がインフレの再燃を招き、FRBは決まりが悪い方針転換を余儀なくされるとの見方に基づく。
元ニューヨーク連銀エコノミストで、現在は自らの名前を冠した顧問会社を経営するフィル・サトル氏は、9月の米利上げ実施を予想し、「金利は全く引き下げられないと見ている」と17日のポッドキャスト「マクロハイブ」で語った。
サトル氏は、20日に就任するトランプ次期大統領が関税を賦課し移民を制限することでインフレ率を高めると予想。米国では既に賃金が再び上昇し始めていると指摘した。
Source: Federal Reserve Bank of Atlanta, Bloomberg
ただ現状では、サトル氏の意見は依然として極端なものだ。債券トレーダーは年内1回の0.25ポイント利下げを完全に織り込み、2回目の利下げの可能性を約50%と見ている。ウォラーFRB理事が16日、今後も良好なインフレデータが続いた場合は2025年前半に追加利下げが実施される可能性があるとの見解を示したのを受け、米国債利回りは低下した。
原題:Contrarian Bet Emerges That Next Fed Move Is Higher, Not Lower(抜粋)