「西側分断」危機を救え!サナエ 大手町の片隅から 乾正人
何を隠そう私は、神戸出身であるにもかかわらず、サンケイアトムズ以来のヤクルトファンである。
60年前は大変な弱小球団で、たまに長嶋、王を擁していた黄金時代の巨人に勝つのが無上の喜びだった。下手をすると、生きているうちに優勝することはないのでは、と漠然と思っていた(ひところの阪神ファンも「一生に1度は、胴上げをサンテレビで見たい」と願っていた)。
監督次第でがらりと変わる
チームどころかファンにも蔓延(まんえん)していた負け犬根性を一掃してくれたのが、今から半世紀前の6月から監督に就任した広岡達朗だ。
広岡は、麻雀(マージャン)や花札など賭け事のみならず特例日以外は飲酒を禁じるなど徹底した管理野球を実践。就任翌年には球団初の2位に躍進し、3年目にはセ・リーグ優勝どころか強敵阪急を破って日本一に輝いた。指導者が代わっただけで、こうも違うものかと身に染みて感じ入った。
今年も現役時代、ブンブン丸と呼ばれていた(どんな悪球もブンブン振り回していた)池山隆寛が、監督に就任するやチームの雰囲気ががらりと変わり、下馬評を覆してスタートダッシュを決めている。
野球でさえこうなのだから政界での指導者(リーダー)の重要性は、改めて言うまでもない。
バイデン時代とトランプ統治下の米国は、まるで別の国である。順番が逆だったら(トランプが2020年の米大統領選で勝ち、昨年任期を終えていたら)、ロシア大統領・プーチンは、ウクライナ侵攻を思いとどまり、大統領X(共和党でも民主党でも)は、無謀なイラン攻撃を決断しなかったろう。歴史は皮肉屋で残酷だ。しかもイスラエルの首相は、あのネタニヤフである。
批判受け謝罪した玉川発言
彼は、7年前に詐欺や収賄の罪で起訴され、裁判は今も継続中だ。ドキュメンタリー映画「ネタニヤフ調書 汚職と戦争」を見れば、全容がよくわかる。12日に予定されていた公判も戦争中を理由に延期された。「刑務所に入りたくないので戦争を続けている」説も説得力がある。
彼の好戦的姿勢が、「反ユダヤ主義」を助長しかねない。日本でもテレビ朝日の人気番組「羽鳥慎一モーニングショー」で、コメンテーターの玉川徹は10日、米国とイランの協議にトランプの娘婿クシュナーが参加したことについてこう発言した。
「トランプ家の代表として入っているとしか見えないし、ましてやユダヤ人ですよね? このイランとの協議に関してはむしろいない方がいいような気がするんですけど」
駐日イスラエル大使が、X(旧ツイッター)で「ユダヤ人であるという理由で外交交渉から排除されるべきだと示唆した懸念すべき発言について、テレビ朝日に正式な書簡を送りました」と猛批判したのもわかる。テレビ朝日は「発言は、差別と受けとられかねない、誤解を招くものでした」と15日謝罪したが、16日の番組で彼は一言も触れなかった。何か含むところでもあるのだろう。
トランプとネタニヤフは、ローマ教皇やイタリア首相・メローニまで敵に回してしまった。このままでは、西側諸国は、完全に分断される。こういうときこそサナエの出番なんだが。=敬称略(コラムニスト)