「Windows」PCにサードパーティー製ウイルス対策ソフトはまだ必要か(ZDNET Japan)

 Microsoftの誰かが4月、「Windows Learning Center」で文書を公開し、全く異論の余地のない主張を示した。「多くの『Windows 11』ユーザーにとって、『Microsoft Defender Antivirus』は追加のソフトウェアを必要とせず、日常的なリスクをカバーする。サードパーティー製のウイルス対策ソフトを追加するかどうかは、PCの使い方と、重視する機能によって決まる」  この投稿はテック系ブログで大きな反響を呼んだが、騒ぎは数日で収まった。  それから1カ月ほど後、その投稿は仮想の煙のように消え去った。痕跡も、注記も、説明もなく消えて、元のリンクはWindows Learning Centerのトップページにリダイレクトされるようになった。  幸い、Microsoftは「Internet Archive」からそのページを消し去ることはできなかった。Internet Archiveには今も、元の内容のミラーリングが残っている。  筆者が知る限り、Microsoftはこの投稿を削除した理由について、公に説明したことはない(コメントを求めたところ、Microsoftの広報担当者は、これ以上共有できることはないと述べた)。推測するなら、サードパーティー製セキュリティ業界からの抗議と、それに伴う独占禁止法上の申し立ての脅しが関係していたのではないだろうか。  消費者向けセキュリティソフトウェア市場の規模はどれくらいだろうか。IDCの「Security Products Tracker」は、エンドポイントセキュリティの売り上げを216億ドル(約3兆5000億円)と見積もったと報じられている。これは、「モダンエンドポイント」と「消費者デジタルライフ保護」という2次市場に分かれている。それは守るべき大きな市場だ。  今回の議論は正当な問いを提起している。Microsoft Defenderは、Windows 11に搭載されている他のセキュリティツールと組み合わせれば、大半の消費者や小規模企業にとって十分なのだろうか。サードパーティー製ソフトウェアを使う理由はまだあるのだろうか。  筆者の答えは、どちらも「はい」である。 感染する可能性は  セキュリティソフトウェアを調査する際の問題は、真に独立した信頼できる情報源がほとんどないことである。CrowdStrikeやPalo Alto Networks、Cisco Systemsのセキュリティ部門「Talos」、Mandiant(現在はGoogle傘下)、Microsoftなどの大手企業は脅威に関する詳細なレポートを公開しているが、主に企業ネットワークの保護に焦点を当てている。  そうしたレポートは、管理されていないデバイスの状況について軽く触れることは多いものの、それが主眼ではない。  消費者向けセキュリティソフトウェアを販売する企業は当然ながら、オンラインの世界がいかに恐ろしく、ユーザーが絶えず標的にされているかを示すことに、より強い関心を持っている。  ただし、利用可能なデータもある。OpenText Cybersecurityの「2025 Cybersecurity Threat Report」に掲載された興味深いデータポイントによると、2023~2024年の消費者向けPCの感染率は3.07%だったのに対して、業務用PCは2.39%だった。  どちらの数字も、安心できるほど低いように見える。この報告書では、これ以外にもいくつか注目すべき点があった。「2024年に感染に遭遇した全ての消費者向けエンドポイントのうち、56%はその年の間にさらなる感染を経験した」という。  報告書の著者は、そうした割合の理由について推測していないが、消費者向けPCで検出されたマルウェアの37.6%がダウンロードフォルダーに潜んでいたと指摘している。それはどのようにしてそこに入り込んだのか。筆者の仮説では、こうした感染は、基盤となるセキュリティソフトウェアの品質よりも、海賊版アプリのダウンロードや危険なリンクのクリック、アップデートの未適用といったユーザーの行動に起因する部分が大きい。 「十分に良い」とはどの程度か  2年前にこのテーマを調べたとき、Security.orgによる興味深い調査を見つけた。そこには米国の市場について、ある程度信頼できそうな数字が示されていた。この調査によると、米国人のおよそ54%はデバイスに標準搭載されている保護機能を使用し、46%はサードパーティー製ウイルス対策(AV)プログラムを使用している。Microsoft Defender以外の製品に切り替えたユーザーのうち有料製品を使っているのは半数にとどまり、その有料顧客の大半をNortonとMcAfeeが占めている。  近年のAV製品の多くは、実環境を想定したベンチマークテストで99%以上のスコアを記録しており、Microsoft Defenderもサードパーティー製の競合製品と肩を並べている。2026年2月から5月までに実施された、独立組織AV-Comparativesによる「Real World Protection Test」の最新結果では、Microsoft Defenderの保護率は99.0%だった。Microsoft Defenderは、同機関がテストした製品の中で唯一、誤検知がなかった。  ずっと昔から、そうだった。AV-Comparativesは最近のブログ投稿で、次のように述べている。「AV-Comparativesは2007年以降、『Consumer Main Test Series』の常連の参加者としてMicrosoft Defenderをテストしてきた。その結果は、同製品が信頼性の高い現代的なセキュリティソリューションへと成熟したことを示している」  Microsoft Defenderは、潜在的に危険なソフトウェアを検出し、実行を阻止するという明確なタスクについて、消費者にとって「十分な性能」を備えているといえるだろう。  実際、NortonやMcAfeeのような競合企業のマーケティングも、その現実を反映している。今では両社は自社製品について、ID保護やプライバシー制御、詐欺検出、仮想プライベートネットワーク(VPN)機能を備えたオールインワン保護スイートとして売り込んでいる。  それらの機能に価値を見いだすなら、検討する意味はあるかもしれない。だが、ウイルス対策機能はもはや差別化要因ではない。

ZDNET Japan
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