《手取りは月15万円弱》29歳会社員が“闇バイトのリクルーター”になった理由「借金返済に追われ、稼いでもストレスで風俗に散財」組織のトップは「逮捕も起訴もされていない」現実

通信アプリ「テレグラム」。闇バイトに応募すると、その後の連絡はテレグラムを利用するように指示される(時事通信フォト)

 被害件数が増え続けている特殊詐欺。SNS上の甘い言葉で募集される「闇バイト」により“実行役”が犯罪に加担するハードルは下がっており、2025年の被害額は1414億円と過去最高にのぼった。

 現在、北海道のIT企業で契約社員として働く男性・A(35)は、闇バイトの実行役を募る“リクルーター”として当時100人近くの実行役を採用し、2022年に懲役2年の実刑判決を受けた過去を持つ。当時Aが募った“実行役”のほとんどは、借金に追われ即金を求める人たちだった。

 そんなAがリクルーターになった理由も、自らが多額の借金に追われていたからだという——ライターの河合桃子氏が取材した。【前後編の後編。前編から読む】

 当時、昼はIT企業のエンジニアとして、夜は闇バイトのリクルーターとして活動していたA(現在35歳、逮捕当時は29歳)。会社員としての手取りが月に15万円弱、リクルーターの仕事は月に30万から50万円、多い時では100万円ほどだった。

 多くの稼ぎを得て暮らしには余裕があったのかと言えば、そうではないという。

「大学3年生の21歳の時に、友人の借金の肩代わりをして130万円を消費者金融に借りてから、その金を返すために街金や闇金などから金を借りるようになり、29歳に至るまで毎月のように20万円から30万円の返済をしていました。

 リクルーターとして“副収入”が入るようになってからも、多く稼いだ時は日々のストレスで旅行に出かけたり、風俗に行ったりで散財してしまっていた。

 貯金したり単発バイトで凌げばよかったのに、悪いことをして稼いだお金は簡単に貯められなかった。正直、当時は借金のことで頭がいっぱいでした」

 Aは2021年のある日の夕方、会社帰りに自宅のエントランスで5人の刑事に囲まれた。逮捕のきっかけは、Aが雇った“受け子”がひとり逮捕され、Aの存在が割れたことだった。逮捕の様子をAは受刑中、日記にこう記している。

《今日のごはん何にしよう ゴミ捨てどうしよう等を考えていた。いきなり男が現れて「○○さんだよね?」と言ってきた。自分は借金取り? それとも闇金? 一体何が起きてるかがわからなかった。(略) その後車に乗り、別の紙をみせてきた。「逮捕状だ」無論、目の前では初めてだ。 俺は逮捕されるのか。不安と、後悔が交わったような感情が湧いた。 ○○署に移され、早速取り調べ? が始まった。こわもての男数人に囲まれて矢継ぎ早に質問されるのは恐怖であった。結局、その日は23時頃までかかった。

 初めての留置場はとても狭く、怖い空間に思えた。自分の行ったことに対してものすごく後悔をし、その日を過ごした》(原文から、一部編集)

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