パンデミック条約改正案、米国が正式に拒否 「WHOの権限拡大」
[ワシントン 18日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)の加盟国が採択した、感染症によるパンデミック(世界的大流行)に関する国際条約の改正案を、米国が18日に拒否した。
この条約はパンデミック発生時の世界的な準備態勢を整えることが目的で、法的拘束力を持つ。米国務省と保健福祉省は声明を出し、昨年採択された国際保健規則(IHR)の改正案に対する正式な拒否通知を提出したと明らかにした。
改正案では「パンデミック緊急事態」という新たな分類が導入され、最も深刻かつ世界的な脅威となる保健危機に対処するため、新たな病原体に対する世界の防衛体制を強化することが目的とされた。
これに対し米国政府は「十分な議論を経ずに策定されたもだ」と主張。「公衆衛生上の緊急事態におけるWHOの役割を拡大し、パンデミック宣言に関する追加的な権限をWHOに付与し、医療物資の『公平なアクセス』の促進に向けたWHOの能力を強化するものだ」との見解を示した。
この声明はルビオ国務長官およびケネディ厚生長官の連名で発表された。ケネディ氏はワクチンの安全性に関して長年にわたり疑念を呈してきた経歴を持ち、WHOが教訓を生かしていないと非難していた。
トランプ米大統領は就任直後、WHO加盟国の不適切な政治的影響力があるとして、1年以内に脱退すると表明。これを受け、米国交渉団は協定交渉から離脱していた。
ケネディ氏とルビオ氏は18日、改正案を拒否したことで「米国の主権を守った」と述べた。ただIHR改正案およびパンデミック協定は保健政策の権限を各国政府に残しており、国家主権を制限する内容は含まれていない。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab
Washington-based correspondent covering U.S. healthcare and pharmaceutical policy with a focus on the Department of Health and Human Services and the agencies it oversees such as the Food and Drug Administration, previously based in Iraq and Egypt.