Appleが「Siri AI」をEUの規則のせいでヨーロッパにリリースできないと主張するも欧州委員会は「AppleがEU域内で新製品や新サービスを導入することを禁じる条項は一切ない」と反論

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Appleは2026年6月9日の「WWDC26」基調講演で、SiriとApple Intelligenceを統合した「Siri AI」を発表しました。このSiri AIについて、EU域内ではEUのデジタル市場法(DMA)が影響して提供が延期されるとAppleは発表していましたが、EUの行政執行機関である欧州委員会は、DMAがSiri AIの導入を妨げるものではないと反論しています。

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Apple’s game of chicken with EU over Siri AI: Who will blink first?  | The Verge

https://www.theverge.com/ai-artificial-intelligence/947051/apple-europe-dma-siri-ai Siri AIは新生Apple Intelligenceを統合したAIアシスタントで、これまでのSiriと比べて「メールの作成」「画像の理解」「文章自動校正」「パスワード管理」「電話中の情報表示」といった機能が大幅に向上しています。Siri AIは2026年秋に予定されている「iOS 27」「iPadOS 27」「macOS 27」「visionOS 27」「watchOS 27」のリリースと同時に利用可能になりますが、Appleは「デジタル市場法の影響により、EU域内ではiOS 27とiPadOS 27へのSiri AIの提供が延期されます」と発表しています。

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Appleによると、EUの規制当局がDMAにもとづいて「Siri AI以外のサードパーティーAIシステムにユーザーデータへのアクセス権限やアプリ操作権限を与えること」「ユーザーのデバイスに対するほぼ無制限のアクセスをあらゆるAIシステムに提供すること」「ユーザーによる継続的な視認やコントロールなしで、あらゆるAIシステムがそのアクセスにもとづいて自律的に行動できるようにすること」といった内容を要求してきたそうです。この規制に従いつつユーザーのリスクを緩和する仕組みとして、Siri AI以外のAIアシスタントが安全に各種機能にアクセスできるシステム「Trusted System Agent」を設計しましたが、欧州委員会がAppleの提案を拒否したため、ユーザーの被るリスクを考慮してEU域内におけるSiri AIの延期決定に至ったとAppleは説明しています。 Appleのグローバルマーケティング担当上級副社長であるグレッグ・ジョスウィアク氏は記者会見で「はっきりさせておきたいのですが、Appleは相互運用性を強く支持しています。問題は、ユーザーのデバイス上のほぼすべての情報への『無制限のアクセス』を他者に提供することを義務付けることになるDMAの厳格な解釈にあります。OS全体をサードパーティのシステムに開放することほど、プライバシーとセキュリティにとって無責任で懸念すべきことは想像できません」と語りました。

しかし、Appleの発表を受けた直後、欧州委員会は自らの規則がAppleによる新機能の導入を妨げるものではないと反論しています。 Appleの発表のあと、DMAの公式サイトが更新され、「DMAには、AppleがEU域内で新製品や新サービスを導入することを禁じる条項は一切ありません」「欧州委員会は今回の件に関してAppleと定期的に連絡を取っていますが、AppleはDMAに準拠した相互運用性ソリューションの提案を策定していません」という記述が追加されました。つまり欧州委員会の主張では、Siri AIの延期にDMAが関係しているのは事実ですが、それはDMAに問題があるのではなくAppleの設計に問題があるというわけです。

一方で、欧州委員会の反論に対しジョスウィアク氏は「欧州委員会は、我々の提案について有意義な協議を行っていません。提案が却下され、欧州委員会が関与していない状況を考えると、現時点では我々が設計できる解決策はありません」とさらなる反論を展開しています。 オランダのティルブルフ大学で競争法とデジタル規制を専門とするフリソ・ボストエン教授は「プラットフォームにシステムの公開を強制することには、非常に現実的なセキュリティとプライバシーのリスクがあります」と語り、Apple側の懸念を支持しました。しかし、Appleのプライバシーとセキュリティを重視した主張は必ずしもAppleの狙いを反映したものではない可能性があり、実際にアプリストアにおける独自決済を巡ったAppleとEpic Gamesの訴訟では、裁判官がAppleのプライバシーとセキュリティを重視した主張に対し懐疑的な見方を示したとボストエン教授は説明しています。

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ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの技術法・政策教授であるマイケル・ビール氏は「核心的な問題は、AppleがAIに関する競争力を維持するために、長年培ってきたプライバシーとセキュリティの仕組みに例外を設けていることにあります。Appleのプライバシーとセキュリティのモデルは、企業による極端な垂直的支配に基づいて構築されており、相互運用性が導入されると崩壊する危険性があります。言い換えれば、AppleはSiri AIのために自社の慣行を変更し、AIがさまざまなアプリ間で大量のデータにアクセスできる能力を与えることには抵抗がありませんが、競合他社が同様のアクセスを要求すると、危険すぎると主張しているのです」と指摘しました。ビール氏によると、Appleが欧州委員会に提案した解決策は公表されていないため、適切に評価することができないそうです。

欧州デジタル権利擁護団体(EDRi)の上級政策顧問であるヤン・ペンフラット氏は、Appleの動きはDMAを破棄することを認めるよう欧州委員会に圧力をかける手段だと主張しています。ペンフラット氏は「これはまさにロビー活動の戦術です。問題はDMAではなく、Appleが競争を阻害するソフトウェアエコシステムを開放することを拒否していることにあります」とEUのDMAではなくApple側に問題があると指摘しました。

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