石破首相がバイデン米大統領に書簡、日鉄のUSスチール買収に承認求める=関係者
書簡を送ったのは、石破首相が南米歴訪から帰国した後の20日。日本は最大の対米投資国だと説明し、「投資の増勢を維持することが両国の利益となり、同盟の強さを示すことになる」と指摘。バイデン氏の在任中に日米同盟はかつてないほど強固となったとし、「4年間の成果に影を落とさないよう買収計画の承認をお願いする」とした。
バイデン氏は大統領選挙中、全米鉄鋼労働組合(USW)とともに買収計画に反対し、国家安全保障の観点から米国外国投資委員会(CFIUS)に審査を委ねた。審査期限はトランプ氏が大統領に再登板する前の年内で、CFIUSは計画を承認、阻止あるいは再審査を求める可能性がある。
バイデン大統領が石破首相の書簡に返答したかはどうかは明らかになっていない。
ロイターは官邸にコメントを求めたところ、外務省に問い合わせるよう指示された。外務省から現時点で返答はない。在京米国大使館、日本製鉄はコメントを控えた。USスチールのコメントは現時点で得られていない。
石破首相は今月15日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれたペルーの首都リマでバイデン大統領と初めて会談した。書簡の中で同会談に言及した石破氏は、時間の制約で経済関係について深く議論することができなかったとし、今の「重要な局面」で同買収計画に改めて注目するよう求めた。
米側に直接働き掛けようとする石破首相の動きは、日本政府のこれまでの姿勢と一線を画す。買収計画は米大統領選の激戦州で政治的な争点になり、岸田文雄前首相は民間企業の案件だとして関与しない方針を示していた。
石破首相は書簡の中で、「日本製鉄はUSスチールの従業員を守ることに深くコミットしており、ともに繁栄する未来を切り開くことを目指している」と説明。「日米の鉄鋼メーカーが先進技術を融合し、競争力を高め、米国の鉄鋼生産能力と雇用の増加に貢献するものだ」と強調した。
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