ウクライナはパトリオット迎撃ミサイルが枯渇、弾道ミサイルの迎撃が不可能
ウクライナ軍はパトリオットシステムで使用するPAC-3弾の備蓄が枯渇してしまい、ゼレンスキー大統領やイグナット空軍報道官も「PAC-3弾不足で弾道ミサイルを迎撃できない」と発言した。そのためロシア軍が発射する弾道ミサイルは全弾が目標に命中してしまう状況だ。
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ロシア軍の長距離攻撃=弾道ミサイル、巡航ミサイル、誘導ミサイル、自爆型無人機で構成された複合攻撃に対するウクライナ軍の問題は「弾道ミサイルを迎撃するパトリオットシステムのPAC-3弾」が枯渇していることで、7月2日に計25発発射されたイスカンデルMと弾道ミサイル攻撃に転用されたS-400迎撃弾のうち4発しか迎撃できず、4日に発射されたイスカンデルM×1発、6日に発射されたイスカンデルMとS-400迎撃弾×23発は全弾が着弾し、ウクライナ空軍のイグナット報道官は弾道ミサイルを迎撃できない理由について「パトリオットシステムの迎撃ミサイルが不足しているためだ」と言及。
フェドロフ国防相の顧問を務めるセルヒー・ベスクレストノフ氏も出演したRadio NVの中で「我々にはミサイルが全くない」「弾道ミサイルに対抗できる手段は何もない」「弾道ミサイルのほぼ全てが目標に命中した」「このままではウクライナの重要インフラ全て破壊されるだろう」と述べ、ゼレンスキー大統領も「我が軍は巡航ミサイルと自爆型無人機の迎撃において優れた働きを見せたが、残念ながら弾道ミサイルの迎撃はできなかった。その理由は迎撃ミサイルの供給不足にある」と言及した。
本ブログの読者なら説明は不要だと思うが、イグナット報道官、ベスクレストノフ顧問、ゼレンスキー大統領が言及した迎撃ミサイル不足はPAC-3弾のことで、米国がイランとの戦争でPAC-3弾を大量消耗したため同迎撃ミサイルの納入は米軍備蓄の回復を優先し、同盟国やパートナー国への納入順位は引き下げられている可能性が高く、フランス、イタリア、トルコ、ハンガリー、スロバキア、チェコ、アルバニアを除くNATO加盟国が参加する「米国製兵器を購入してウクライナに供給する枠組み=PURL」経由でのPAC-3弾も行き詰まっている可能性が高い。
もはやPAC-3弾のウクライナ供給に関しては、これを保有するドイツ、オランダ、ポーランド、ルーマニア、スウェーデンが備蓄を取り崩してウクライナに供給する以外に短期的な答えがなく、すでにドイツやオランダは備蓄からPAC-3弾を供給している可能性が高いため、新たな備蓄の取り崩しが可能なのかどうかも不明だが、唯一の救いはイスカンデルMの生産数(月50発程度で全弾をウクライナ攻撃で消耗できるわけではない)が限られていることだろう。
さらにウクライナの国産巡航ミサイル=FP-5による長距離攻撃が現実のものになり、国産弾道ミサイル=FP-7の実戦投入も間近に迫っているためS-400迎撃弾の攻撃転用も慎重にならざるを得ず、ひと月に何百発、何千発もの弾道ミサイルがウクライナに降り注ぐという事態にはならない。
出典:Lockheed Martin
それでも「ウクライナは弾道ミサイルを迎撃できない」という状況はロシア軍の長距離攻撃における明確なアドバンテージであり、PAC-3弾を入手できない場合の現実的な対策はイスカンデルMの生産を妨害する攻撃作戦を実施することぐらいで、ウクライナは既にイスカンデルMの構成部品を生産する産業拠点を自爆型無人機やFP-5で攻撃しているが、その効果は現時点では不明だ。
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※アイキャッチ画像の出典:Mil.ru/CC BY 4.0