【更新】福島で4人襲った熊、窓から逃げる 鍵を外した痕跡 バリケード築かず、市長「手を抜いたわけでは…」 行方分からず

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クマがとどまっていた工場。クマは窓(写真右下)から逃げたとみられる=4日午前7時20分ごろ、福島市笹木野 クマが逃げる際に開けたとみられている窓(縦125センチ、幅90センチ)の鍵。周囲に複数のひっかき傷がある(福島市提供)

 福島市内の工場にとどまっていたクマは、施錠されていたはずの窓から逃げたとみられる。馬場雄基市長は鍵の仕組みを理解し、自力で開けたとの認識を示し「極めて知能が高い」と驚く。一方、クマの生態に詳しい複数の専門家は「クマの知能では難しい」と否定的だ。クマは鍵を開けられるのか、それとも偶然だったのか―。

 市によると、窓は引き違いで、地面からの高さは約1メートル。鍵はハンドルを下げて開ける一般的な形状だった。鍵の近くにはクマが引っかいたとみられる傷が複数あり、網戸も破られていた。

 馬場市長は4日の記者会見で、クマが蛇口に前足を当てて水を飲んでいたとの目撃情報も明かし「自分で鍵を開けている状況だ」と述べた。

 対して、専門家の受け止めは冷静だ。

 石巻専修大の辻大和教授(動物生態学)は「前足をバタバタさせていたら、たまたま開いた可能性はある」との見方を示す。野生鳥獣などの生息調査を手がける地域環境計画(東京)の吉田淳久・野生生物管理部副部長も「閉じ込められた(パニックの)状態。偶発的に爪に引っかかるなどして開いたと考えるのが正しいのではないか」と見る。

 福島大の望月翔太准教授(野生動物管理学)は「ただ山で生活していたクマだったらできない」と指摘。一方「クマの知能は3歳児ほどある。人里近くで生活し、(偶然でも)鍵を開けた経験があれば再び実現した可能性はある」と含みを持たせた。(中村楓、岸菜々美、土屋聡史)

福島で4人襲った熊逃走 市はバリケード築かず 市長「手を抜いたわけでは…」 行方分からず

 福島市笹木野で男女4人に重軽傷を負わせたクマの緊急銃猟を進めていた福島市は4日、工場内にとどまっていたクマが逃げたと発表した。クマの行方は分かっておらず、市は周辺住民に注意を呼びかけている。緊急銃猟態勢を敷く中での失態に市民からは、市の対応へ疑問の声が上がった。

 市によると3日午後10時50分ごろ、電子機器製造販売会社「OKIシンフォテック」の周囲を警戒していた福島県警の警察官が敷地から逃げ出すクマ1頭を目撃した。クマは3階建て建物の1階窓から逃げたとみられる。鍵を外した痕跡があった。

 クマが2日午前に工場に逃げ込んだ後、市は1階に閉じ込めた上で緊急銃猟やわなによる捕獲準備を進めていた。3日夕、警戒して箱わなに入らないクマを落ち着かせるため電気を消したところ、逃げられたという。クマの様子を確認するために、窓にバリケードは築いていなかった。

 緊急の記者会見をした馬場雄基市長は「対応に手を抜いたわけではないが、反省は残った」と述べた。逃走を市が把握してから報道発表まで約2時間経過しており、「情報発信が遅くなった。原因を分析する」と説明した。

 現場周辺の野田小と野田中は、被害が発生した2日以降、児童生徒を登校させずオンライン授業を続けている。野田小の青柳俊宏校長は「逃げてしまったのは残念。早く友達と顔を合わせて学習してほしい」と話し、登下校の安全確保のために保護者への送迎依頼を検討しているという。

 現場近くの豆腐店従業員、今野利幸さん(50)は「周辺を24時間交通規制するほど厳重だったのに(窓にバリケードを築かず)完全防備していなかったとは」と驚いていた。

 クマは2日午前6時半ごろ、同市笹木野の部品製造会社「福島製鋼」に侵入。同社や近隣のOKIシンフォテックの従業員や住民ら20~80代の4人を次々と襲った後、同社の建物にとどまっていた。

 市は、工場内に引火性の塗料などがあったため実弾の使用を断念し、麻酔銃による緊急銃猟を試みたが、障害物が多く使用機会が限られていた。2日に発射した1発は当たったが効かなかった。現場に残っていた弾を調べると麻酔薬が減っておらず、注入できていなかったことが確認された。(吉田ちひろ、中村楓)

現場周辺の警戒に当たるパトカー=4日午前5時55分ごろ、福島市笹木野 クマが逃走した現場周辺を警戒するパトカー=4日午前5時50分ごろ、福島市笹木野 クマが衝突しガラスなどが割れた自動ドア=2日、福島市笹木野の福島製鋼の事務棟(福島製鋼提供) クマがとどまるOKIシンフォテック敷地内で作業する関係者ら=3日午後3時35分ごろ、福島市笹木野 クマがとどまるOKIシンフォテック敷地内で作業する関係者ら=3日午後3時35分ごろ、福島市笹木野

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