スイス大統領、関税巡り米国務長官と会談へ-トランプ氏面会は未定
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- 先進国で最高の39%、7日午前0時1分に発効-アポなし訪問実らず
- ルビオ国務長官との会談で新たな提案も、出発前の新合意は見込まず
スイスのケラーズッター大統領は、トランプ米大統領が打ち出した39%の関税を引き下げることに成功しないまま、ワシントンを後にする。事情に詳しい関係者が明らかにした。
匿名を条件に語った関係者によると、ケラーズッター氏が率いるスイス代表団は、米国側に新たな提案を行った。それでも、米国出発前によりよい合意が得られるとは考えていないという。
ケラーズッター氏は5日、先進国中で最も高い対スイス関税の適用を阻止すべく、急遽ワシントンを訪れた。関税率は先週トランプ氏が発表し、7日には発効予定のため、スイス側が説得に動ける時間は限られていた。
航空機追跡サービスのFlightAwareによると、スイス代表団が搭乗する政府機はワシントンのダレス国際空港を現地時間6日午後6時10分に出発する予定。
トランプ氏との会談は現時点で予定されていないと、ホワイトハウス当局者は説明した。
関係者によると、ケラーズッター氏は6日、ルビオ米国務長官と会談した際に新たな提案を協議した。同氏はソーシャルメディアへの投稿で、スイスと米国の2国間協力や関税の状況、国際情勢を話し合ったと明らかにしたが、詳細には触れなかった。ルビオ氏は関税を巡る2国間合意を統括する役割を担っていない。
At today's meeting with secretary of state @SecRubio, we discussed bilateral cooperation between 🇨🇭 and 🇺🇸, the tariff situation, and international issues. @ParmelinG
— Karin Keller-Sutter (@keller_sutter) August 6, 2025
スイス政府はコメントの要請にすぐには応じなかった。
ケラーズッター氏の意向に通じた関係者によると、同氏はいかなる犠牲を払っても米国と合意を結ぼうとは考えていない。
米国とスイスの首脳が最後に話したのは、7月31日の電話会談だった。トランプ氏は米CNBCに対し、ケラーズッター氏について「感じのいい女性だった」と述べつつ、スイスの膨大な対米貿易黒字に関する自分の不満に「耳を傾けようとはしなかった」と振り返った。
39%の対スイス関税は、米東部時間7日午前0時1分に発効する。スイス側は交渉が前向きに進展していると考えていたため、発表された関税の水準に衝撃を受けた。
ブルームバーグ・エコノミクスの試算によると、39%の関税がスイスの全輸出品に課されれば、中期で同国の国内総生産(GDP)は最大で1%押し下げられる恐れがある。
この報道を受けてスイス・フランはドルに対する上げを縮小し、スイスの食品大手ネスレの米国預託証券(ADR)は日中安値に下落した。
米国との合意で最大の障壁となっているのが、昨年時点で380億ドル(5兆6000億円)に上るスイスの対米貿易黒字だ。主な要因は、金、医薬品、時計、医療機器だが、短期間での黒字削減は難しいとみられる。
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