【70歳代・夫婦世帯】平均貯蓄額はいくら?《1カ月の生活費・平均年金額・月々の家計》をまとめてチェック(LIMO)
12/15 14:05 配信
本日、12月15日は年金支給日です。70歳代になると、多くの人がリタイアをして、主な収入源が「年金」となります。現役世代の中には「毎月どのくらいの生活費がかかるのか」「年金や貯蓄だけで生活できるのか」と不安を抱いている人もいるのではないでしょうか。本記事では、70歳代のシニア世代が実際にどの程度の年金を受け取り、どれくらいの生活費や貯蓄で暮らしているのかを、実際の調査データをもとに紹介します。
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【シニアの貯蓄事情】70歳代シニアの「平均貯蓄額」はいくら?
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は以下の結果となりました。 ・平均:1923万円 ・中央値:800万円平均値は、一部の高額な貯蓄世帯によって押し上げられる傾向があるため、実際の状況を把握するには中央値のほうがより現実的な指標となります。70歳代の二人以上世帯における貯蓄の中央値は1000万円に届かず、全体としては決して高い水準とはいえません。さらに、平均値と中央値の差が1000万円以上あることからも、シニア世帯の間で貯蓄額に大きな格差があることがうかがえます。では、70歳代で「貯蓄3000万円以上」の人はどのくらいいるのでしょうか。●【貯蓄3000万円以上の人は19.0%】70歳代の「貯蓄割合」を見るJ-FLEC(金融経済教育推進機構)の同調査によれば、70歳代・二人以上世帯の貯蓄保有状況は次のとおりです。※なお、これから確認する金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。70歳代の二人以上世帯では、金融資産をまったく保有していない世帯が最も多く、全体の20.8%を占めています。
一方で、3000万円以上の貯蓄を持つ世帯も19.0%にのぼり、世帯間で資産状況に大きな差があることが明らかです。
【シニアの収入事情】70歳代シニアの「平均年金額」はいくら?
続いて、厚生労働省年金局が公表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、シニア世代の収入状況を確認していきましょう。現役時代の働き方や加入していた制度によって、老後に受給できる年金の種類(国民年金のみ/国民年金+厚生年金)が異なります。 ・国民年金のみ受給:現役時に専業主婦、自営業者、フリーランスだった人 ・国民年金と厚生年金どちらも受給:現役時に会社員、公務員だった人ご自身がどの年金に該当するのか、上記を参考にあらかじめ確認しておくことが大切です。●70歳代(70歳~79歳)が受給している「厚生年金」の平均月額 ・70歳:14万4773円 ・71歳:14万3521円 ・72歳:14万2248円 ・73歳:14万4251円 ・74歳:14万7684円 ・75歳:14万7455円 ・76歳:14万7152円 ・77歳:14万7070円 ・78歳:14万9232円 ・79歳:14万9883円※厚生年金の金額には、基礎部分である「国民年金分」も含まれています。●70歳代(70歳~79歳)が受給している「国民年金」の平均月額 ・70歳:5万8956円 ・71歳:5万8569円 ・72歳:5万8429円 ・73歳:5万8220円 ・74歳:5万8070円 ・75歳:5万7973円 ・76歳:5万7774円 ・77歳:5万7561円 ・78歳:5万7119円 ・79歳:5万7078円厚生年金は収入に応じて保険料が決まるため、世代によって受給額に差があり、平均すると月額14万円前後で推移しています。一方で、国民年金は保険料が一律のため、平均受給額は月5万円台です。ただし、これらはあくまで平均値であり、実際の受給額は個々の加入状況や働き方によって異なります。将来どの程度の年金が見込まれるかを知りたい方は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認しておくと安心です。
では、年金だけの収入で老後生活は送れるのでしょうか。
【シニアの家計収支事情】70歳代シニアの「毎月の生活費」はいくら?
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、無職(年金世帯)の二人以上世帯の70~74歳と75歳以上の家計収支は以下のとおりです。【70~74歳と75歳以上の平均的な実収入】 ・70~74歳:27万5420円 ・75歳以上:25万2506円【70~74歳と75歳以上の平均的な支出】 ・70~74歳:30万3839円(消費支出26万9015円・非消費支出3万4824円) ・75歳以上:27万3398円(消費支出24万2840円・非消費支出3万558円)「70~74歳」と「75歳以上」いずれのケースでも、毎月およそ2~3万円の赤字が生じていることが分かります。年間にすると約20~40万円の不足となり、多くの人が生活の厳しさを感じていることがうかがえます。実際に、厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯のうち55.8%が「生活が苦しい」と回答しています。また、同調査では、公的年金のみで生活している高齢者は全体の43.4%にとどまることが示されています。つまり、半数以上のシニアは年金だけでは生活費をまかないきれず、就労による収入や貯蓄の取り崩しで不足分を補っているのが現状です。これらの結果からも、公的年金だけでは十分な生活資金を確保しにくく、経済的に厳しい状況に置かれている高齢者が多いことがわかります。安心して老後を迎えるためには、現役のうちから計画的に準備を進めることが欠かせません。
日々の生活費の目安を知るだけでなく、「どのような目的で、いくらを、どの期間積み立てるのか」を明確にしておくことが重要といえるでしょう。
現役時から始められる老後の備えをしておこう
本記事では、70歳代のシニア世代が実際にどの程度の年金を受け取り、どれくらいの生活費や貯蓄で暮らしているのかについて紹介していきました。老後の生活は、年金・貯蓄・支出のバランスによって大きく変わります。70歳代の多くが年金を主な収入源としていますが、年金だけでは生活費をまかないきれない世帯も少なくありません。現役のうちから生活費の目安を把握し、貯蓄や資産形成を計画的に進めておくことで、将来の安心につながります。
将来に向けた備えを始める第一歩として、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用し、自身の年金見込額を早めに確認しておくことをおすすめします。
参考資料
・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」 ・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」 ・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
マネー編集部貯蓄班
最終更新:12/15(月) 14:05