「すごい武器」巨人・阿部監督が絶賛 普通の遊ゴロも内野安打にしてしまう“神足”の持ち主が開幕1軍へ虎視眈々
巨人のドラフト2位・浦田俊輔内野手(22)=九産大=が11日、故郷の長崎で俊足をアピールした。ソフトバンク戦に「2番・遊撃」でスタメン出場。4回先頭で、遊撃手正面への平凡なゴロを快足を飛ばして内野安打にすると、直後にオープン戦初盗塁を決めるなど持ち味を存分に発揮。阿部慎之助監督(45)はドラ2ルーキーのスピードに目を見張り「すごい武器」と絶賛。キャンプは2軍スタートとなったが、逆転開幕1軍への道を切り開いていく。
故郷で自慢の快足を飛ばした。喝采を浴びながら、浦田が夢中で駆けた。4回先頭。遊撃正面への平凡な打球だったが、50メートル5秒8の韋駄天(いだてん)ぶりを発揮して内野安打にしてみせた。「長所は足なので凡打をヒットにできたのはこれからにつながるかな」。春季キャンプは2軍ながら3月から1軍に合流してつかんだ念願の舞台。「楽しかったです」と喜びをかみしめて、家族や友人が観戦する前で躍動した。
スタンドからの拍手はどんどん大きくなる。出塁後、続く若林の打席での3球目で果敢にスタートを切り、“プロ初盗塁”となる二盗を決めた。2日のヤクルト戦(東京D)でけん制死して以降、帰塁と二盗の練習を繰り返してきた中での成功。「動画を見ながら修正してきた。けん制での帰塁練習と、盗塁ではベースの近くでスライディングするようにやってきた。自分としても大きい盗塁だった」と自信を得た。
8回1死一、三塁では暴投に迷いなく反応して本塁へ生還するなど最後までアグレッシブにプレー。100メートルを10秒8台で走ったことがある父・秀明さん(56)と幼い頃から一緒にランニングやダッシュを行って磨いたスピードを生かして存在感を示した。阿部監督は「(足は)すごい武器だからね。いいアピールをしてくれている。守備ではミス(4回に悪送球)もあったけど、ああいうのを取り返せる武器を持っているからね」と絶賛した。
慣れ親しんだ場所で心身ともに充実した。海星高時代の友人と休養日だった10日に「稲佐山温泉ふくの湯」を訪れて、リフレッシュ。夕飯は家族と、買ってきてくれた好物のすしを食べながら、和やかに過ごした。「ゆっくりできましたね」。家族団らんの時間が身に染みた。パワーをしっかり蓄えることができた。
本職の二遊間、三塁に加えて外野での練習も行っているルーキー。遊撃手争いは現状、門脇がリードしており、浦田はまず守備固めや代走の役割を泉口や増田大らと争う中で、強烈なインパクトを残すことに成功した。2軍から参加している立場だったが、自慢の俊足で逆転開幕1軍の可能性も見える。高校時代にプレー経験がある同球場で家族に雄姿を届けたルーキーは「親孝行ができたかなとは思うけど、まだまだ足りない。これから1軍で活躍して、もっともっと恩返しできるように」と誓った。勢いそのままに駆け上がっていく。(宮内 孝太)
◆浦田 俊輔(うらた・しゅんすけ)2002年8月30日、長崎市生まれ。22歳。小学1年から大村クラブで野球を始め、長崎・海星では2年夏に甲子園出場。九産大では1年春からベンチ入りし、通算打率3割9分2厘、37盗塁で3度の盗塁王。背番号32。年俸1200万円(金額は推定)。171センチ、67キロ。右投左打。
◆堀内恒夫Point ビビビックリ!面白い存在
浦田の足にはビックリしたね。4回の内野安打は、ショートがちょっと待って捕ったとはいえ、普通の遊ゴロだぜ。それがヒットになるんだから恐れ入る。8回の一ゴロもエラーにはなったけど、浦田の足があってこそ。1死後の暴投での生還もいいスタートだった。 9回1死一塁、一塁走者として左前安打で三塁を狙ってアウトになったものの紙一重。オープン戦の今なら試してみていい。足のスペシャリストとしては重信や増田大もいるが、浦田は面白い存在になるんじゃないか。
◆父・秀明さん観戦「頑張ってほしい」
〇…浦田の父・秀明さんが息子の雄姿を見届けた。バックネット裏で観戦。「長崎で見られたのはすごくうれしいです。これまでよりもスライディングも加速して、スピードが落ちてなかったですね」と声を弾ませた。前日(10日)は家族で食事をしながら時間を過ごしたという。「遠征や試合が続いていくと思うので、けがをしないで頑張ってほしい」と優しいまなざしを向けた。